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初月赤字も1年で月商1,000万円突破。渋谷『雲隠レ』に学ぶメニュー改善のデータ分析法

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写真右から2番目がCLOUDS株式会社代表取締役社長の鶴岡静氏、3番目が『雲隠レ』店長の有賀洋之氏、4番目がプロモーションマネジャーの大河内翔氏

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2024年5月のオープンから1年を経て、15坪34席の規模で月商1,000万円突破を達成した東京・渋谷の繁盛居酒屋が『雲隠レ』だ。店があるのは渋谷マークシティそばの繁華街にある雑居ビル2階。渋谷駅からのアクセスはいいものの、視認性の悪さもあってオープン当初は集客にやや苦戦した。

初月の月商は535万円にとどまり、赤字スタート。そこから右肩上がりに売上を伸ばしていくわけだが、同店を運営するCLOUDS株式会社代表取締役社長の鶴岡 静氏とプロモーションマネジャーの大河内 翔氏が売上増と利益増のために注力したのが「メニュー改善」だった。データ分析に基づいてメニュー改廃を積み重ねたが、その徹底度が半端ではない。個店でもできるデータ分析に基づくメニュー改善の要所を二人にうかがった。

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『雲隠レ』は、渋谷駅京王井の頭線出口から徒歩1分という好立地にある雑居ビルの2階に入居

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前身は、間借りで週末に限定営業していた居酒屋

『雲隠レ』は出店の経緯がやや特殊だ。

元ビールメーカーに勤務していた大河内氏が東京・吉祥寺のハモニカ横丁内にある居酒屋『ニワトリ』の2階を間借りし、週末限定で営業していた『雲ガクレ』がその前身。『ニワトリ』はハモニカ横丁の発展を牽引してきた株式会社ビデオインフォメーションセンターが運営しているが、渋谷の『雲隠レ』も同社が運営している『やきとりテツ』が入居する物件を引き継ぐ形で出店を打診された。

吉祥寺の『雲ガクレ』は大河内氏が運営する個人店だったが、渋谷の『雲隠レ』は物件の造作譲渡費など投資額が大きく膨らむ。そこで、かねてより「東京都内で事業をはじめたい」と話していた大手銀行出身の鶴岡氏に声をかけ、設立されたのがCLOUDSだった。

『雲隠レ』の店長を務める有賀洋之氏は東京・西荻窪の『すっぴん』など繁盛居酒屋3店を展開する株式会社バカワライに勤務。鮮魚料理のノウハウを学ぶため、広島県広島市にある立ち飲みスタイルの繁盛居酒屋『魚寅』に勤めた後、2024年5月に『雲隠レ』をオープンした。

内装は居抜き物件を活用しながら、厨房機器の配置場所を変えてオペレーションの効率化を図った(画像提供:CLOUDS)

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メニュー改善を積み重ね、客単価、売上、利益を大幅にアップ

『雲ガクレ』の実績もあったため、自信を持ってスタートしたが、思いの外、売上が伸び悩む。15坪34席の規模でオープン初月は客単価4,400円で月商535万円。売上そのものはそこまで悪くないものの、空中階とはいえ、渋谷駅近くの好立地で家賃が高いことや空調設備の故障で300万円の費用が嵩んだことにより、マイナス利益になる厳しいスタートだった。

鶴岡氏、大河内氏、有賀氏の3人はすぐさまメニュー改善に取りかかるが、これが大成功を遂げる。2025年5月には月商1,063万円という売上レコードをマーク。オープン初月比で客単価9%増、1日平均客数26%増と客単価アップと客数アップを同時に実現し、大幅な売上増、利益増を達成したのである。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。