初月赤字も1年で月商1,000万円突破。渋谷『雲隠レ』に学ぶメニュー改善のデータ分析法
20代だった来店客の主要年齢層を30~40代にスイッチ
一方、Monthly Reportのデータ分析は非常に緻密だ。性別、年代別、時間帯別の客単価や客数割合を算出し、その推移をグラフ化。メニューも顧客属性ごとにABC分析をし、新メニューがどの世代に高評価を得ているのかもわかるようになっている。
このデータ分析が客単価を上げながら、客数増を図るための特に重要なツールになっている。というのも、来店客の年齢層を上げることを売上増施策の基本方針に設定していたからだ。
大河内氏はその狙いを次のように説明する。
「値頃感を打ち出すため、オープン時に価格水準を低めに設定したことがいろいろな課題を引き起こしてしまいました。ひとつは感覚値で値付けをしたため、原価率が上がりすぎたこと。また、価格に敏感な20代のお客さまの割合が高くなり、客単価が想定値よりも低くなってしまいました。メインターゲットは30~40代でしたから、Weekly Report、Monthly Reportをもとに有賀とともにメニュー改定を進め、軌道修正を図りました」
「整理されたバラエティ豊富なメニュー」にデータ分析をフル活用
もうひとつ、メニュー分析は「整理されたバラエティ豊富なメニュー」を形作るために大きな役割を果たしている。
大河内氏は「メニューバラエティは商品構成で意識しているポイントです。鮮魚料理を売りにしながら、焼売とタコスを名物メニューに加えたのは幅広いジャンルの料理を揃えているのを印象づけるのが狙い。迷うくらいに様々な料理が揃っていることが居酒屋の醍醐味であり、それが客層と利用動機の拡大、来店頻度のアップにつながると考えています」と説明する。
アルコールは「お茶割」の品揃えを厚くしており、写真左から「増田さんの狭山茶ハイ」(580円)、「安藤さんのほうじ茶ハイ」(580円)、ブッシュミルズシングルモルト10年を使用した「ハイボール10年」(770円)
ただ、幅広いジャンルの料理を揃えると注文が分散してロスも出やすくなる。それを『雲隠レ』ではメニュー分析によってコントロールしているのである。
具体的には各カテゴリ別の売上構成比率の適正値を「おすすめ」15%、「魚」15%、「焼・蒸・揚」38%、「その他逸品」20%、「〆・甘味」12%に設定。売上構成比率がブレたカテゴリの商品を意識的に入れ替え、メニューバラエティのバランスを保っている。
『雲隠レ』はオープンから14か月連続で最高売上を更新中。その勢いを駆って、同社は同じ渋谷エリア内に2店目の出店にも動き出しており、「2~3年で3店体制を構築したい」と鶴岡氏。さらに海外出店も計画するなど、事業拡大に精力的に取り組んでいる。
『雲隠レ』
住所/東京都渋谷区道玄坂2-7-3 三喜ビル2F
電話番号/03-6427-0808
営業時間/月~金17:00~24:00(フードL.O.22:45、ドリンクL.O.23:15)、土16:00~24:00(フードL.O.22:45、ドリンクL.O.23:15)、日16:00~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日/なし
坪・席数/15坪・34席
https://www.instagram.com/kumogakure.shibuya/
https://job.inshokuten.com/kanto/work/detail/81486









