新卒月給35万円を実現する『マグロスタンダード』。紹介&カンテラ採用で優秀な人材を先取り
アルバイトから社員へ登用する「カンテラ採用」に注力
もう一つ、同社が注力するのが、「カンテラ採用」という学生アルバイトからの社員登用制度だ。これは株式会社カンテラが提唱する採用戦略で、アルバイトが社員になりたい会社を作り、アルバイトを正社員へと登用する。同社は株式会社カンテラと協力し「カンテラ採用」を先駆けて行った、実験店舗でもあるのだ。
まず、アルバイトとして入社してきた人の中から、意欲のあるスタッフを「トップランナー」というアルバイトリーダーへと登用。トップランナーになると、月10日以上の出勤、社員と同様のスキルチェックやミーティングへの参加が求められ、時給もアップする。さらに授業数が少なくなり、出勤数を増やせる大学4年生時には「学生社員」へとステップアップし、裁量と責任が増し、さらなる時給アップも行う。
「この2〜4年間が、彼らにとっては長期インターンのようなもの。卒業する頃には、中途で入社した社員よりも仕事ができる状態になっています。だから、うちでは新卒1年目から月給35万円、週休3日、年間休日138日という好待遇を実現できる。優秀な学生は新卒の就職先として飲食業界を選んでくれませんが、アルバイトとしてはそういった優秀な学生も働いてくれている。そのため、優秀な学生にアルバイトの時点で『ここで働きたい』と思ってもらうことが大事だと考えています」
実際にこの制度を使って、年間1~2名はアルバイトから社員へと登用されている。
リファラル採用と内部育成を重視する一方、宮﨑氏は求人媒体として「求人飲食店ドットコム」も活用している。採用率は1%程度だが、それでも利用を続けるのには、明確な理由があった。
「採用率は高くはありませんが、リーズナブルな価格で利用でき、他では出会えないようなキャリア層が、ごく稀に見つかるため使い続けています。現に、うちの商品開発部長は『求人飲食店ドットコム』経由で採用しました。全店舗のメニューを開発し、現場にも立つ、まさにベテランの料理人です。普通ならまず採用できないような人材と出会える可能性がある。それがこの媒体の魅力ですね」
実際「求人飲食店ドットコム」経由で2024年は4名、今年に入ってからも5名の採用に成功している。
「週休3日はワナ」。働きやすさだけでなく、「マインド重視」の組織で最高売上を樹立
順調に成長を続けてきた同社だが、2023年末に大きな転機が訪れる。ある社員の退職に伴い、アルバイトもその引き抜きに遭い、従業員の半分が退職する危機に瀕した。
「創業当初は、とにかく人がいれば会社は成長できると思っていたんです。だから、週休3日制など、労働環境の良さを前面に押し出して人を集めていました。でも、3年経って気づいたんです。これではダメだと。働きやすさだけを求める人が集まると、サービスの主語が『お客さま』ではなく、『自分たち』になってしまう。社員のできる範囲でメニューを考えるようになり、お客さまを喜ばせるという視点が欠けていきました」
この危機をきっかけに、宮﨑氏は組織のあり方を180度転換する決断を下す。
「このままでは会社の未来はない。そう感じて、『夢や目標がないなら、うちにいるのは難しいかもしれない』と、ある意味でスタッフたちを突き放したんです。結果的に、多くの人が会社を去りました。しかし、残ってくれたのはマインドの合うメンバーばかり。そのメンバーで組織を立て直したところ、不思議なことに、すべての店舗で過去最高の売上を記録したんです」
現在、同社の求人票には「週休3日」の文字が残っているが、宮﨑氏は「あれはワナです」と笑う。
「面接で『週休3日だから』『プライベートを充実させたいから』という理由を口にする人は、全員不採用にしています。もちろん休みは大事ですし、実際に週休3日を実現できています。でも、それが一番の志望動機であって欲しくない。我々が求めているのは、会社の理念や事業に共感し、ここで成長したいという熱い思いを持った人材。スキルは後からいくらでも身につきますが、マインドはそう簡単に変わりませんから」
