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月商1,500万円を売る渋谷『桜ヶ丘椿堂』。「再来店したい店」で売上1.6倍のV字回復!

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エントランス入ってすぐは、調理場も見えるオープンキッチンスタイルのカウンター席

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平日も予約で満席&コース利用率8割。追加注文を生む「余白」の仕掛け

客単価向上の鍵を握るのが、コース料理だ。平日でも利用客の約6割が、週末は約8割がコースを注文するという。同店のコースには、追加注文を自然に促すための「仕掛け」が施されている。

アラカルトのほか、飲み放題付きコースは5,700円と6,300円の2つを展開

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「コースの時間を2時間半と長めに設定し、最後のメイン料理を提供する前に、あえて少し時間が空くように設計しています。そのタイミングで『よろしければ追加オーダーはいかがですか?』と一声かけるんです。お腹に余裕のあるお客さまは、低温調理のレバーや名物の鶏の半身揚げ、お刺身などを追加で頼んでくださいますね」(荒瀬氏)

飲み放題のコースでも、日本酒は1種類しか含まれていないため、日本酒好きなお客が追加で別の銘柄を注文することも多いという。こうしたきめ細やかな仕組みづくりが、客単価アップに貢献しているようだ。

日本酒は常時12種類ほどをラインアップ。甘口から辛口までバランス良くそろえ、お燗もつけてくれる

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「見せて、やらせて、教える」。対面接客を貫き、スタッフの人間力を高める

『桜ヶ丘椿堂』の強みは、なんといっても「人」だ。アルバイトを含め、スタッフの接客レベルの高さには目を見張るものがある。

「当社の経営理念は『また来たくなる店づくり』です。料理がおいしいのは当たり前。その上で、いかに心地よい時間を提供できるかが重要だと考えています」と佐藤氏は話す。

名物の「痛風盛りと鮮魚のお刺身盛り合わせセット」(4,500円)と「ひな鶏の半身揚げ」(980円)、「瀬戸内レモンサワー」(540円)

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その理念を浸透させるための教育方針は「見せて、やらせて、教える」。マニュアルに頼るのではなく、先輩スタッフが手本を見せ、実践させながら丁寧に指導していく。

「個室のお客さまは、用事がある時だけスタッフを呼ぶということが多いですが、うちは『用事がなくても積極的に部屋に入っていきなさい』と教えています。空いたお皿を下げたり、次の飲み物を伺ったりと、常に目配り、気配りを徹底するためです。子育てと一緒で、言い続けるしかないんですよね」と荒瀬氏も続ける。

近年、多くの飲食店が導入しているモバイルオーダーも、同店では採用していない。

渋谷『極楽酒場 げんてん』のアルバイトからスタートし、2019年に『桜ヶ丘椿堂』の店長に就任した荒瀬氏(左)と、ブラボー・ピープルズ取締役副社長の佐藤氏(右)

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「もちろん効率化できる面はあると思います。でも、僕らがやりたいのは、お客さまの顔を見て、『おいしい』と喜んでくれる姿を見ること。そのやり取りの中にこそ、飲食の楽しさがあると思っています。今の接客レベルが落ちてしまうくらいなら、導入するつもりはありません」(荒瀬氏)

こうした方針がスタッフの人間力を高め、長期勤務するアルバイトが多い安定した地盤を築いている。特に女性スタッフの活躍が目覚ましく、そのきめ細やかな接客が店の大きな魅力となっている。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。