坪月商45万円の二子玉川『ニッポンドウ』。親子丼と牛皿で目指すは「100年続く居酒屋」
二子玉川の『焼売酒場 二子玉 一本堂』は連日満席が続く、若者に人気のネオ酒場だ。この予約の取りづらい繁盛店を切り盛りする萩原裕介氏(42歳)が、同じエリアに2店舗目となる『ニッポンドウ』を2025年4月24日にオープンさせた。
ドミナント展開の目的は1号店であふれた客を受け入れることと、地元住民を迎え入れるため。ただし、今度は大人向けの正統派の和風居酒屋で勝負し、「100年続く店」を目標に掲げている。萩原氏に新たな挑戦について伺った。
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商店街の物件取得を成功させ、和の新業態への道を決意
店頭に置かれた立て看板に、こんな一文が書かれていた。
「『ニッポンに産まれて良かったなあ』と、思える店目指してます」
これは萩原氏が実際に口にした言葉。「2024年の冬、2号店の構想を練るための内装業者との居酒屋での会合で、あん肝と熱燗のペアリングを試した際に腹の底から思わず出てしまいました(笑)。そうしたら『この言葉ってすごいよね。じゃあ、これをテーマとして落とし込んでみようよ』と盛り上がりました」と、萩原氏は当時を懐かしむ。この実体験こそ、本格的な酒肴と日本酒を軸とした業態を生む源泉となった。
店舗の立地も、新業態の誕生を大きく後押しした。萩原氏は「『一本堂』の近くでなじみのある二子玉川商店街は、昔情緒のある老舗と洗練された新店が混在する魅力的なエリア。二子玉で正統派の居酒屋を出すなら一番いい場所」だと認識していた。
一方でドミナント展開は眼中になく、二子玉川以外の新天地を探していたものの、なかなか良い物件に巡り合えずにいた。そんなときに、商店街に昔からあった生花店の閉店情報が舞い込んだのだ。
「絶対にこの物件を取りたいなと思って、すぐ不動産会社に連絡を入れました。けれども、最初は(飲食業を行うには)電力容量が低く、ガス設備もないからと入居を断られて……。ここを狙っていた競合の同業他社は諦めてしまいました。それでも僕は『そこを何とかなりませんか』と粘って交渉を続けた結果、大家さん側がプロパンガスを取り付けてくれる話になり、どうにか入居することができて良かったです」
物件取得費や内装費、キッチン導入などを含めた初期費用は計1,800万円。それでも「機材等の資材が高騰していると聞いていたので2,000万円ぐらい確保していたため、割と安く済んだのかな」と萩原氏は言う。なお、賃料は10坪で30万円だ。
駅前の喧騒から離れ、どこか懐かしい雰囲気が漂う二子玉川商店街の立地環境が、最終的に新業態に踏み切る引き金となった。店舗設計を手掛けたのは、デザイン事務所A-SWITCHの秋本純一氏。ファサードにカウンター席とレトロな格子窓を設けることで、古民家風の空間的魅力を生み出しており、ふらりと立ち寄る地元客も多いそうだ。
