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祐天寺『Cotori』に学ぶ「新時代の専門店」。“鳥焼肉×自然派ワイン”で唯一無二の店づくり

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『Cotori』店主の小島睦(こじま・まこと)さん

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様々な鶏の部位をセルフで焼く「鳥焼肉」と自然派ワインで人気の『Cotori(コトリ)』。東急東横線の祐天寺駅より徒歩2分ほどの住宅街にあり、カフェのようなお洒落な雰囲気が特徴だ。焼き鳥や焼肉ではなく、「鳥焼肉」という専門性の高いジャンルと自然派ワインを掛け合わせた理由とは。また同店が多くのファンを獲得する魅力とは何か。店主の小島睦(こじま・まこと)さんに話を伺った。

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すでに飽和状態だった「焼き鳥」や「焼肉」とも違う「鳥焼肉」との出合い

祐天寺商店街から住宅街に入り、少し進むと緑に囲まれたテラス席の奥に「Cotori」と書かれたピンクのネオンサインが見える。大きなガラス窓に囲まれた開放感あるカフェのような外観は、小島さんの「何屋か分からないような店にしたかった」という構想が見事に実現されたものだ。

「いつか自分の店を持ちたい」という目標を抱きながら、カフェや居酒屋、串焼き店などで研鑽を積んでいた小島さん。どんな業態で開業するか思案していたが、なかなか決め手が見つからずにいた。そんな時に出合ったのが、「鳥焼肉」だったという。

ピンクのネオンサインが目印。お店の前のテラス右側にはテーブル席があり、左側のグレーの建物はワインの貯蔵庫になっている(写真提供:Cotori)

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「焼き鳥店はすでにたくさんあって飽和状態でしたし、今からそれをやっても新鮮さや面白みがない。だったら何かほかのジャンルで勝負したいと考えていました。そんなタイミングで鳥焼肉の先駆けである恵比寿の『焼肉鳥gg(じじ)』にたまたまご縁があって、立ち上げ直後から加わることになったんです」

『焼肉鳥gg』のオープン時、まだ「鳥焼肉」というジャンルはほとんど知られておらず、焼き鳥店だと思って入店してきたお客が、テーブルのロースターを見ると「自分で焼くならいいや」と帰ってしまうこともあったという。そこから小島さんたちスタッフは努力を重ね、徐々に「鳥焼肉」が周知されるようになり、お客は自分たちで焼くことを楽しんでくれるようになっていった。

地鶏や銘柄鶏の様々な部位を食べ比べることができる「鳥焼肉8種の盛り合わせ」は1人前2,400円。注文は2人前~(写真提供:Cotori)

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「揚げ物をメニューに入れない」というルールと特別な無煙ロースターの導入

「そのあたりから焼き鳥とは違う『鳥焼肉』に魅力と大きな可能性を感じて、これでいこうと決めました」と続ける小島さん。2020年1月に『Cotori』をオープンし、全国から厳選した地鶏や銘柄鶏の様々な部位をお客が自分で焼くスタイルの「鳥焼肉」をメインに、鶏肉を使った料理やオリジナルのおつまみなど、ジャンルレスなメニューを数多く提供している。

「料理に使う肉は鶏肉だけと決めていますが、それ以外は今まで自分が食べておいしかったものをベースにメニューを考えました。あと大きなこだわりとして、一つは揚げ物をメニューに入れないこと。やはり『鳥焼肉』を味わってほしいので、唐揚げやフライドポテトなどは人気メニューではありますが、『Cotori』では提供しないことに決めています。もう一つは、ロースターです。排煙ダクトのない無煙ロースターを導入していて、煙や臭いがないのはもちろん、余分な油を落としながら水分は失われないので、鶏肉がしっとりとおいしく焼き上がります」

無煙ロースターは焦げつかず、臭いが服につくこともなく、しかもおいしく焼き上がる。びっくりするお客もいるそう(写真提供:Cotori)

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通常の焼肉ロースターは導入時に排煙ダクトの工事が必要だが、このロースターはそれが不要で工事費もかからない。焼き網は焦げつかない構造で、使用後のメンテナンスも簡単だ。ダクトがないため、テーブルを移動させて団体客用のレイアウトも作りやすい。ロースター自体は比較的高価だが、全体を考えれば非常にメリットが多かったと小島さんは話す。

店内を囲う大きなガラス窓と温かみを感じる木のテーブル、窓の高い位置に大胆にアレンジされたドライフラワーなど、清潔でお洒落な店内をキープできるのも、このロースターの大きなメリットの一つだろう。

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小坂知美

ライター: 小坂知美

学生時代からの食への探求心と食いしん坊が高じて、フードライターとして活動中。飲食業界でパティスリーやレストラン等の広報・PRに就いていたことから、取材を受ける飲食店側の立場も経験。作り手のこだわりと愛情が詰まった、美味しいものを食べているときが至福の時間。