坪月商45万円の渋谷『すき焼き ちかよ』。大手も模倣する元祖“肉だけすき焼き”の差別化戦略
山手線渋谷駅から徒歩5分。上質な黒毛和牛を使い、“肉だけ”の関西風すき焼きを提供しているのが『すき焼き ちかよ』渋谷店だ。2022年オープンの江ノ島店に続いて2023年9月にオープンした同店は、店名にもなっている母親が幼少期に作ってくれたシンプルなすき焼きを高品質・低価格で再現。繁忙期には月商600万円、坪月商は45万円を売り上げるなど好評を博している。同店を運営する株式会社YT&H代表取締役の藤原佑太氏に、ブランドを作り上げたプロセスや同業者との差別化ポイント、SNSを駆使した集客策などについてお話を伺った。
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母親が作ってくれた肉だけの“焼きすき”がベースに
大学卒業後は、米国への留学や海外駐在などを経験し、長く海外で暮らした藤原氏。その経験から「ちょっと大袈裟ですが、何か国を支えるような事業をしたいと考えるようになりました」という。
そこで目をつけたのが、和牛を使った事業。中でも、「すき焼き」は海外で競合が少なく、チャンスと踏んだ。もともと『すき焼き ちかよ』オープン前は熟成肉のケータリング事業を手掛けていて、精肉店とのつながりがあったことも後押しとなった。「海外で何かしたい」という思いと合わさって “和牛すき焼き”の店を着想。2022年に江ノ島本店を立ち上げ、翌2023年に渋谷店をオープンした。
提供するメニューは、野菜や豆腐、割り下を使わない、砂糖と醤油のみで調理する関西風の“焼きすき”だ。ベースにしたのは、幼い頃、野菜が苦手で「ずっと肉だけ食べていたかった」という藤原氏のために母親が作ってくれた、思い出のすき焼きだという。
「このお店を作る時に、大衆向けのメニューを考えるよりも『自分が行くか、行かないか』ということを意識しました。僕は野菜をあまり食べないし、すき焼き店に行っても肉だけ出してくれれば十分だな、と思っていたので、それを形にしたんです。僕は料理をしないけど、“売れる味”を察知する能力には長けていると思っていて。母親の作るすき焼きは本当においしいと思っていたし、これなら売れるだろうと確信していました」

『すき焼き ちかよ』の「【ミニ】すき焼き」(2,270円)。ごはん、赤出汁、卵、漬物がセットだ。ごはんは父親の実家がある島根県産コシヒカリの「仁多米」、卵は「マキシマムこいたまご」を使用。器は卵の濃いオレンジ色が映えるものを選んでいる。赤出汁はあえて具なしにするなど、細部までこだわりが光る
