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神泉の本格イサーン料理店『タイ東北モーラム酒店』。“容赦なく無慈悲な”本場の旨辛でヒット

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『タイ東北モーラム酒店』のシェフ・クンルアン氏

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京王井の頭線「神泉駅」のホームからも見える、ポップな外観が目を引く『タイ東北モーラム酒店』。キッチンではタイ出身のシェフが腕を振るい、イサーン地方の郷土料理を中心に提供している。「現地の味をそのまま届けたい」として日本人向けのアレンジは一切ない。まるで現地の屋台や食堂に迷い込んだような気分が味わえるとして評判だ。そんな店づくりの舞台裏について、オーナーの丸山勝己氏に話を聞いた。

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タイ料理への愛から生まれた“一人酒場”

白い壁に、赤と青のラインがランダムに走る外観はひときわユニーク。神泉駅を利用したことがある人なら、一度は『タイ東北モーラム酒店』を目にしたことがあるのではないだろうか。

店があるのは神泉駅の目の前。ポップな外観が目を引く

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店内はキッチン前にカウンターが設けられ、小テーブルと金属製の丸椅子が並ぶ。BGMには、店名の由来となったタイの伝統音楽“モーラム”が流れ、壁にはタイのポスターが貼られるなど、にぎやかに彩られている。

口コミでは「現地のような雰囲気」と評されることも多いが、丸山氏は「現地に寄せたわけではありません。ポスターなどは少しずつ増えていったもので。ここはもともとラーメン屋の居抜き物件で、内装はほとんど手を加えていないんですよ」と話す。

小さなテーブルセットが並ぶ店内

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丸山氏の本業はデザイナー。タイを旅した際に出合った料理に魅了され、帰国後はさまざまなタイ料理店を食べ歩いた。しかし、ガパオひとつとってもどこか現地の味と違うと感じ、「それなら自分で作ろう」と思い立ったのが店の始まりだった。

作りたかったのは、一人でもふらっと立ち寄れる気楽さと、日本人向けにアレンジしない“現地そのままの味”が楽しめる酒場。エリアにはあまりこだわらず、1階で10~15坪前後の物件を、五反田~三軒茶屋まで広範囲にわたって探したという。

店名からも単なるタイ料理店ではなく、“酒場”であることがわかる

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シェフのビザ問題で悪戦苦闘。想定外から始まった船出

イサーン地方の料理に軸を置いたのは、ソムタムやラープ、ガイヤーンなど、日本でもおなじみのタイ料理の多くがイサーン地方発祥だと知ったからだ。そこで初代シェフには、知人を通して出会った現地出身の料理人を迎え入れることになった。

ところが、ここからが苦労の始まりだった。飲食店の運営は初めてで、ビザの取り方すらわからない。調べてみると発行までに半年かかり、しかも実際に店がなければ申請すらできないことが判明した。「そんなことも知らなかったんです」と丸山氏は当時を振り返って苦笑する。ビザを獲得するためにも、まずはとにかく店を開ける必要があり、半年間はフリーのタイ料理人に協力してもらいながらなんとか店を回した。

初代シェフは家族と離れて単身日本に渡り、8年にわたって腕を振るったのち、2025年春に帰国。現在は2代目シェフのクンルアン氏がその味を受け継ぎ、厨房を切り盛りしている。

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。