飲食店ドットコムのサービス

ラーメン界を牽引する『麺屋武蔵』の“強さ”の理由。「全員経営」の哲学を支える仕組みとは

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

株式会社麺屋武蔵の代表取締役社長・矢都木二郎氏

画像を見る

競争の激しいラーメン業界で、創業から30年近く経った今もなお確固たるブランドを築き、多くのファンを魅了し続ける『麺屋武蔵』。その強さの源泉は、一杯のラーメンへのこだわりだけではない。正社員・アルバイトの垣根なく、全従業員を巻き込んで情報をオープンにする、独自の組織文化にあった。今回は株式会社麺屋武蔵の代表取締役社長・矢都木二郎氏にインタビューを実施。強いチーム作りの秘訣と、それを支える仕組みについて話を聞いた。

24歳で『麺屋武蔵』に入社し、27歳で上野店の店長に昇格。2013年より2代目代表取締役社長を務める矢都木氏

画像を見る

売上情報もオープンにしたら離職率が改善。『麺屋武蔵』が実践する「全員経営」の哲学

1996年の創業以来、「革新的で上質」をコンセプトに、14店舗それぞれで異なるラーメンやつけ麺を提供するなど、独自のスタイルを貫いてきた『麺屋武蔵』。その個性的な店づくりを支えているのが、「全員経営」という哲学だ。

「理想は、スタッフ一人ひとりが『麺屋武蔵』というブランドを借りて、独立したラーメン店を経営しているような気持ちで働いてくれること。組織に依存するのではなく、一社会人として自立することが大事だと考えています。だからこそ、従業員には給料を“もらう”のではなく“稼ぐ”というマインドを持ってほしい」

訪問した『神田 麺屋武蔵 神山』は17席月商約1,400万円を誇る人気店

画像を見る

この理念を実現するため、同社では正社員だけでなくアルバイトスタッフにも、各店舗の売上や客数、客単価といった経営に関する重要情報をすべてオープンにしている。会社の現状を自分ごととして捉え、当事者意識を育むことが目的だ。

「アルバイトだから、社員だから、という区別はしていません。お客さまの前に立てば、みんな同じ一人のスタッフです。分け隔てなく情報をオープンにすることで、会社への関心や愛着が生まれ、結果として定着率の向上にもつながっています。肌感覚ですが、離職率は10~20%ほど改善しました。店舗間の交流も活発になり、組織としての一体感も出てきたと感じています」

アルバイトスタッフが売上日報を自主的に投稿したり、数字について店主に質問したりすることもあるという。従業員一人ひとりの主体性を引き出すことこそが、『麺屋武蔵』というブランドの強さを生み出しているのだ。

『神田 麺屋武蔵 神山』は、同店オリジナルの「蒲焼きチャーシュー」をトッピングした「濃厚神山つけ麺」(1,510円)が名物

画像を見る

情報格差をなくし、透明性の高い組織の実現を後押しした「Talknote」

同社の理念を組織の隅々にまで浸透させ、血の通った文化として根付かせているのが、情報共有プラットフォーム「Talknote(トークノート)」の存在だ。導入以前の状況を、矢都木氏はこう振り返る。

「以前は、店舗ごとにチャットツールのグループ機能を作って、連絡を取り合っていました。店舗内のコミュニケーションはそれで事足りましたが、会社全体の情報を共有するのが非常に困難でしたし、私まで情報が来ないことも。また、店長や副店長クラスには、売上などのデータも共有していましたが、それがアルバイトスタッフまで届くことはない。どうしても、役職によって得られる情報量に差が生まれてしまい、理念とは裏腹に、従業員の間に見えない壁ができてしまっていたんです」

店舗ごとに情報が閉ざされ、横の連携が取りにくい。そんな状況では、組織としての一体感は生まれない。理念をカタチにするための新たな仕組みが必要だった。

「スマホで使える『Talknote』は、シンプルなデザインで使いやすく、スタッフもみんな抵抗なく導入してくれました」と話す矢都木氏

画像を見る

「情報の資産化」「オープンな情報共有」「サポート体制」が導入の決め手に

そんな課題を抱えていた2020年、矢都木氏は情報共有プラットフォーム「Talknote」と出合う。

「ちょうどビジネスチャットツールが出始めた頃で、情報共有のあり方を見直したいと考えていたタイミングでした。『Talknote』は、チャットツールのようなクローズドなやり取りにならず、社内の情報をオープンに共有でき、組織全体に情報が蓄積できる点に魅力を感じましたね」

導入の決め手は大きく3つあった。一つ目は、テーマごとに情報を整理・蓄積できるフィード型サービスであること。チャットツールでは、重要な連絡やノウハウも他の会話に埋もれて流れていってしまう。「Talknote」であれば、日報やマニュアル、議事録などをテーマ別の「ノート」に残せるため、後から入社したスタッフでも必要な情報を簡単に探せ、時系列で追うことができる。まさに情報の「資産化」だ。

「Talknote」はテーマごとに情報を整理・蓄積できるフィード型サービス

画像を見る

二つ目は、オープンな情報共有の仕組み。店舗ごと、部署ごとにノートを作成しつつも、他の従業員もその内容を閲覧できるため、組織全体の「見える化」が進む。店舗間、幹部や社員、アルバイトの情報格差がなくなり、一体感の醸成につながる。

そして三つ目が、手厚い導入・運用サポートだ。ITツールに不慣れなスタッフがいても、操作方法や活用方法を担当者が指南してくれる。そのサポート体制も大きな決め手となった。

「『麺屋武蔵』の自社アプリでお客さまに実施したアンケート結果を「Talknote」と連携させた際にも、担当者が迅速に対応してくれました。お客さまからの声をスタッフ全員が知ることで、一人ひとりのモチベーションアップにつながっている。こうした連携がスムーズに実現できたのも、手厚いサポートのおかげです」

業務マニュアルや就業規則といった資料も「Talknote」内で共有できる

画像を見る

『麺屋武蔵』のチームビルディングに一役買った「Talknote」の活用事例4つ

現在、『麺屋武蔵』では「Talknote」を駆使し、独自のコミュニケーション文化を築いている。そのユニークな活用事例をいくつか紹介しよう。

■売上日報
各店舗の担当者が、その日の売上・客数・客単価などを文章と共に毎日投稿。「今日のMVPは〇〇さんです!」といったポジティブな内容が添えられることも多く、スタッフの頑張りを称え合う場にもなっている。他店の状況がリアルタイムでわかるため、互いに刺激し合えるという。

「Talknote」を使った日報では各店舗が来客数、売上、客単価、今日の振り返りを報告

画像を見る

■社長メッセージ
矢都木社長自らが「つぶやき」と称して、「予約投稿」機能も駆使しながら、ほぼ毎日メッセージを投稿。内容は、読んだ本の引用や経営に関する気づき、時には「声が小さいですよ」といった厳しめの指摘まで様々だ。社長の考えをダイレクトに伝えることで、理念の浸透や発言しやすい雰囲気の醸成を図っている。

■他店試食レポート
スタッフは他社を含む飲食店で経費を使って食事をすることができ、その際のレポートを「Talknote」に投稿する決まりになっている。写真付きのレポートには「他社のこういったサービスからは学ぶべきことがありそうです」といったことから、自社店舗への訪問では「〇〇さんの接客が良かった」など、感謝のコメントが飛び交う。互いの良い点を学び、認め合うことで、店舗間の交流も促している。

系列店を試食した際の感想・気づきが投稿されている

画像を見る

■店長選挙
同社の文化を象徴するのが、新店舗の店長を従業員投票で決める「店長選挙」だ。立候補は副店長以上。社長含めたスタッフは、勤続年数や役職に応じて持ち点が与えられ、最大3名の候補者に自由に点を振り分けて投票できる。候補者は「Talknote」上で動画や文章を使って所信表明を行う。

店長選挙では、立候補者が「Talknote」上に動画を投稿し、所信表明のようにアピールを行う

画像を見る

「僕一人の責任で店主を決めるのは重すぎるし、何より日頃の仕事ぶりを一番よく見ているのは現場のスタッフたち。社長である僕にだけ良い顔をするのではなく、仲間からの信頼を勝ち得た人間が店長になるべきだと考え、この仕組みを導入しました」

投票結果と共に、各候補者への応援コメントもすべて公開される。たとえ選挙に敗れたとしても、仲間からのフィードバックが次への成長の糧となる。日々の「Talknote」での発信や他店舗への貢献といった「日頃の行い」が評価されるこの仕組みは、従業員の主体性を引き出す強力なエンジンだ。

コミュニケーションの活性化を促し、組織の力を最大化する「Talknote」

『麺屋武蔵』にとって、「Talknote」はどのような役割を果たしているのだろうか。

「うちは店舗ごとにラーメンの味が違い、各店主の個性が強い、いわば“動物園”のような組織です。『Talknote』は、そんな“尖った集団”を一つにつなぎ、連携させるために不可欠なプラットフォームだと思っています。導入から5年が経ちますが、理念の浸透を感じますし、スタッフの定着率も上がり、業務生産性も向上しました。大切なのは、ツールを導入して終わりにするのではなく、会社としてどう活用していくか。『Talknote』は、それぞれの組織に合わせて、カスタマイズするように、様々な使い方ができる点も魅力だと感じています」

「Talknote」によって、創業者が掲げた理念「個を敬い、繋(けい)を旨とす」を浸透させている『麺屋武蔵』

画像を見る

最後に、「Talknote」をどのような課題を抱える飲食店におすすめしたいか尋ねた。

「社長の思いが従業員に伝わっていない、会社に一体感がない、と感じている経営者の方には特におすすめです。店舗が増えるほど、理念の共有は難しくなります。『Talknote』は、従業員一人ひとりをつなぎ、同じ方向を向かせてくれる。人手不足が叫ばれる飲食業界では、そうした“繋がり”が、ますます重要になってくるはずです」

物価高や人手不足など、飲食店を取り巻く環境は厳しさを増している。そんな時代だからこそ、『麺屋武蔵』のように、従業員全員が当事者意識を持つ「全員経営」を実践し、それを支える仕組みを構築することが、飲食店の真の競争力となるのかもしれない。

■「Talknote」に関する資料はこちらから
■「Talknote」についてのお問い合わせはこちらから

『神田 麺屋武蔵 神山』
住所/東京都千代田区内神田3-8-7 グラン・フォークス神田ビル
電話番号/03-3256-3634
営業時間/11:00~22:30
定休日/無休
席数/17

[提供] Talknote株式会社

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

『飲食店ドットコム ジャーナル』は飲食店ドットコムが運営する“食”に関するWEBマガジンです。飲食業界の最新ニュースをはじめ、食にまつわる役立つ情報や、実際に働く方々の声を読者に届けていきます。