『マクドナルド』、紙ストロー終了へ。飲食店チェーン各社で広がる代替素材の導入
日本マクドナルドは、2025年11月19日より紙カップ用のフタをリサイクルPET製のストローなしで飲めるタイプに順次変更し、全国展開すると発表した(参考1)。近年、飲食店チェーン各社が環境対策として、ストローをリサイクル素材やエコ素材に変更する動きを見せている。さらに、単なる素材変更から一歩進み、耐久性や使用感にも着目した代替素材を導入することで、差別化を図るフェーズへと移行しているようだ。
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『マクドナルド』、お客のニーズと環境負荷低減を両立するフタへ
『マクドナルド』では、2022年10月にプラスチックストローを紙製ストローに切り替えはじめた。しかし、お客からは「(ストローが)ふやける」「飲み物の味が落ちる」といった声も寄せられ、リサイクルPETを100%使用したストローなしで飲めるフタ「ストローレスリッド」を、3年以上かけて開発したという。
特徴は、店内利用だけでなく、デリバリーやテイクアウト、ドライブスルーなどさまざまなニーズへ対応したことだ。「簡単に飲み口が開き、ストローなしでもゴクゴク飲めて飲みやすい。一方で不用意に開いてしまうことがないため、テイクアウトやデリバリー時でも漏れを生じさせにくい」と同社は説明する。たとえば炭酸飲料をデリバリーする時に、振動で炭酸ガスの内圧が上がっても中身が噴き出しにくい構造だという。なお、紙ストローの提供は順次終了する予定だ。
飲食店チェーン各社でも進むストローやフタの見直し
■ケンタッキーフライドチキン
日本ケンタッキー・フライド・チキンも、プラスチックストローなしで飲める「ドリンキングリッド」を2024年6月から順次導入した(参考2)。素材には使用済みペットボトルをもとに生産された、ポリエステル繊維「再生ペット」を25%使用。また、一般的なドリンキングリッドに比べて厚みのない平らな形状にすることで、プラスチック使用量を削減したという。2023年に国内28店舗にて先行テストを実施し、検討・改良を進めることで、お客の使用感にもこだわったようだ。
■スターバックス コーヒー ジャパン
『スターバックス コーヒー ジャパン』は、2020年1月より提供を開始していた紙ストローを廃止し、2025年1月から植物由来のプラスチックストローへの切り替えを進めている(沖縄県内店舗で先行導入、同年3月以降全国展開)(参考3)。これは、生分解性のバイオマス度99%のストローだ。石油由来の資源ではなく植物油などを主原料としており、微生物によってCO2と水に生分解されるため、環境負荷を低減できるという。
「環境のためにできることは多少の我慢を伴うイメージがあるかもしれませんが、このストローは環境貢献と利便性を両立できる素材であり、環境のためにできることは我慢だけではないということが伝わったらうれしいです」(参考4)と、開発元である『カネカ』Global Open Innovation 企画部はコメントしている。
■すかいらーくグループ
さらに、全国に約3,000店舗を展開する『すかいらーくグループ』は、2018年より石油由来プラスチック製品の削減に段階的に取り組んでいる(参考5)。2022年からは各店舗でバイオマスストローをFSC認証(R)の紙製ストローに変更し、ストローはドリンクバーを注文した“希望する”お客へのみ提供する体制に変更した。
ストローをリサイクル素材やエコ素材に変更するとコストがかかるため、二の足を踏む飲食店もあるだろう。また、代替素材によってはお客の満足度が下がる可能性も否定できない。しかし、大手各社の取り組みにより代替素材の選択肢は広がっている。導入する企業が増えれば、コストも下がると考えられる。ぜひ自店と相性のよい製品を見つけていきたいものだ。











