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坪月商60万円を売る『ユメキュウ学芸大学』。20代店主が描く、深夜に飲食業界人が集う店とは?

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改装で増設したカウンター。同業者の「お客さまが入ってきたときに入口近くに誰か店員がいると安心するから」のアドバイスで、ドリンカーをカウンターの隅に配した

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串を手放し、オペレーションを改善&人員を省力化

2024年に成功を収めた新宿店を畳んで、学芸大学店一本で勝負することを決意する。その後、学大に本拠地を据えてから2年も立たないうちに店名を『ユメキュウ』に改め、大幅リニューアルに着手。まずは、それまでの看板アイテム「野菜巻き串」をはじめとする串料理をメニューから外した。

418円~1,408円までのジャンルレスのメニューが並ぶ。平均客単価は4,200円

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「同業者などの深夜帯に来る人たちの来店目的は、串を食べたいからというわけではありませんでした。それに串をやるとホール、キッチン、焼き場と最低3オペ(人)が必要になります。将来的に串を焼ける人材を集めづらい。串の作業を教えている最中に辞めてしまう新人もいる。そんな飲食界全体の課題も感じていたので串をやめて、2オペにしました」

その分、電子ジャー、フライヤーといった調理機器を新たに導入。新人スタッフでも数日しっかり作業を教えれば、誰でもどのポジションでもこなせる体制を整えた。

小ポーションがウリの「〆のチャーシューメン」(968円)。味のブレが出ないよう出汁を取らず、チャーシューを煮込んだ醤油ダレがベースの竹岡式の手法で作る

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さらに串を手放したことで高利益体質に変わった。「野菜巻き串」はごまかしがきかない料理。具材は野菜と豚肉なので原価5割を超えるそうだが、串の安価なイメージから値段を上げづらい。そこで業態ごと刷新し、居酒屋らしく幅広いものが食べられて、飲める総合居酒屋として生まれ変わったのだ。

宮内氏いわく「飲食業界人は本当によく飲む」特性もあり、店のアルコール類の売上高は全体の60%を占める。その代わりフードに原価をかけても、アルコールと合わせた原価率は25%~30%未満に着地させた。リニューアル前は30%強だったからその差は大きい。また、3オペから2オペに減らしたことで人件費も浮くため、毎月の売上高は以前と比べて100万円前後アップし、手応えを実感している。

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。