坪月商60万円を売る『ユメキュウ学芸大学』。20代店主が描く、深夜に飲食業界人が集う店とは?
飲食業界人が深夜に欲するのは意外にも市販のソーセージ?
『ユメキュウ』が毎日相手にするのは、主に舌の肥えた飲食のプロたちだ。彼らに供する料理には神経を使うのではないだろうか。そう聞くと意外な答えが返ってきた。
「うちでは『シャウエッセン(スパイシーケチャップ)』(638円)がすごく出ます。(ミシュランガイドの)ビルグルマンとか取った人でも、夜中に『シャウエッセン』が食べたくなるみたいで(笑)。『アオリイカゲソ』というスピードメニューもあって、これも飲食店の人は、なぜか頼みますね。同業の人たちは、プライベートまで『この料理に何が入っているんだろう?』と、考えながら食べたくないんじゃないですか」
若き店主はそれらを含めて、スピーディーに出せるメニュー構成を意識した。リニューアル前は、営業中に包丁での切りこみの多いメニューが中心だったものの、現在は基本的に包丁を使わない。
「うちの店は、皆さん『人間』に会いに来るのが目的で利用されていると思います。なので、できるだけ作業に追われる時間を抑え、接客に重きを置いています。僕らスタッフは営業中によくしゃべるし、お客さまにモテますよ(笑)。一方で仕込みには時間をかけているので、『おいしくて、作業に追われないもの』が料理のテーマですね」
『ユメキュウ』では深夜営業のため、従業員の負担を考え、昼間に仕込みだけを行う調理人を雇い、分業制を敷く。「おいしい」への探求は、定番料理にひと手間加えた数種の名物メニューに表れている。それらの開発では、基本的に「『想像できるけど、普通じゃないもの』を意識する。
「例えば『ホタテのなめろう(牡蠣醤油)』(858円)は珍しいですけど、ホタテとなめろう自体は誰でも知っている。だからメニュー名を見たら、『たぶん旨いだろう』と想像できますよね」と、宮内氏はそのコツを教えてくれた。
「THE・肉焼売」(1個429円)も「想像できるけど、普通じゃない」名物料理。挽き肉とブロックからの手切りの豚肉を半々で合わせるので食感が肉々しい。先輩同業者の助言によりオーストラリア・タスマニア産の粒マスタードも添えた
目標月商900万円をクリアし、ベッドタウンでの多店舗展開へ
目下の課題は、『ユメキュウ』では“第1幕”となる早い時間帯の集客をどれだけ増やせるかだろう。そのために料理のキラーアイテムの開発やMEO対策(地図検索で自社店舗を上位に表示させるための対策)など、地元以外の外来のお客を呼ぶための施策を思案している。
「まだ成長の余地は全然あります。スタッフを増やして定休日をなくし、早い時間帯の集客が上がれば、この箱(10.8坪)でもMAX月商900万円を目指せます。それが達成できたら次のビジョンとして、池尻大橋や三宿などのベッドタウンで店を展開させたいです」
最後に「30歳までの目標はありますか」と問うと、若き店主は少し照れくさそうにこう答えた。
「行けるところまで店舗を増やしたいですね。毎日繁盛店のすごい人たちと仕事の話ができるのはありがたいこと。そのなかで自分が一番若いし、可能性は一番あるので大きくなりますよ、マジで」
『ユメキュウ学芸大学』
住所/東京都目黒区鷹番2-20-19 W.学芸大学1A号室
電話番号/03-6303-0717
営業時間/18:30~27:00(L.O.26:00)
定休日/月曜
坪・席数/10.8坪・24席(カウンター8席、テーブル16席)
https://www.instagram.com/yumekyu_gakudai/









