月商1,500万円の中野『酒パチパチ』。伝説のホストが“行動力”を武器に居酒屋経営でも成功へ
新宿・歌舞伎町で「伝説のホスト」と呼ばれた常田利幸氏(48歳)が率いる有限会社Joh Corporationは、居酒屋店舗を運営する「十七番地グループ」を形成。中野エリアを中心に16店舗(うちFC4店舗)を展開し、2024年は年商8億円を稼ぎ、直営12店全てが売上目標を突破するなど絶好調だ。そこで月商1,500万円を誇るグループ売上No.1の旗艦店『酒パチパチ』を訪れ、ホストでも居酒屋運営でも“億り人”となった異端の経営者に、成功の秘訣を聞いた。
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ホスト時代から現在まで「お客さまに楽しんでもらう」が第一義
香咲真也――。これが常田氏のホスト時代の源氏名。20歳で夜の世界へ足を踏み入れると、瞬く間に店のNo.1ホストに君臨した。23か月売上連続1位、最高月収3,000万円で当時の歌舞伎町の売上記録を更新するなど、2000年代のホストブームをけん引したカリスマである。
当時の常田氏の原動力は「No.1へのこだわり」。現場では「お客さまに楽しんでもらうこと」をモットーに、接客スキルを徹底的に磨いた。
「お客さまの全てを見てました。時計やバッグ、靴はもちろん、爪や髪の手入れがされて色艶がいいかなどで、懐に余裕があるか、幸のある女性なのかを判断します。会話中に相手が目を逸らしたら、それは嫌な話の合図だから話題を変えますね。会話が盛り上がってきたら、一旦引いてみる微妙な距離感もテクニックの一つです」
ホスト時代の接客経験について、「それなしには(今の自分は)語れない」と断言する常田氏。「お客さまに楽しんでもらう」精神は、30歳での飲食業界への転身後も一丁目一番地だという。
多店舗運営の社長ながら現場で汗をかき、後進を育てる
常田氏は現在16店舗・従業員109名の大所帯を束ねるオーナーながら、現場好き。新店オープンの際には土台づくりのため、最初の約3か月は必ず厨房に立つ。営業中は調理に留まらず、接客サービスでもポテンシャルを発揮。積極的に声掛けしてお客の顔を覚え、次回来店の際には「また来てくれて、めちゃうれしいです!」と歓迎する。
さらに、お客の機微を見逃さないホスト時代に培ったトークスキルを生かす。
「労って、優しくして、バカなことを言って笑わせて。徹底して丁寧に接すればファンがつく。すると、次回はファンの方が自分の友達やパートナー、同僚とかを連れてきてくれるのです。数珠つなぎのように」と、常田氏は熱弁を振るう。
そんな常田氏の大立ち回りを見た店長をはじめとする従業員は、集客を図る接客の極意を学ぶ。2023年開店の『酒パチパチ』はカリスマ店主が抜けた後も、席の回転数は平日3回転、週末は6~7回転と客足を落とさず成長できたのも、それが一因だろう。


