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連日満席の神泉『ANDs.』。繁忙を極めるイタリアンバルを救った“評価制度とチーム力”とは?

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共同経営者であり、シェフとして厨房を支える西方祐貴氏

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2024年8月のオープンから1年足らずで繁盛店へと成長したイタリアンバル『ANDs.(アンズ)』。10坪・23席というコンパクトな空間ながら、平日は2回転、週末は3回転の人気ぶりで、今や予約困難店だ。一方で、人手不足による課題も浮き彫りになっていたという。

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神泉の路地裏に佇む『ANDs.』。渋谷駅徒歩圏内の急成長エリアで感度の高い客層が集う

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“連日満席”の人気店に成長した秘訣

神泉の裏路地にひっそりと佇む『ANDs.』は、気軽に立ち寄れる隠れ家風イタリアンバル。料理はシンプルながら、旬の食材を活かした“ひと捻り”のアレンジが光り、華やかな盛り付けはSNSでの拡散を誘う。

店内全体を見渡せる入口脇のスタンディングスペース。テーブルに並ぶ料理に「私もあれが食べたい!」とオーダーが連鎖する

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渋谷エリアという土地柄もあってか、来店客の8割以上はSNS経由の新規客。「特に2名でのご利用が多く、友達同士やカップルで来られる方が中心です。7割以上は女性客になりますね」と語るのは、共同経営者でシェフの西方祐貴氏。カジュアルな価格帯(客単価6,000~7,000円)、シンプルで上質な味わい、そして“映える”ビジュアル――。この三拍子が客足を途絶えさせない。

テーブル席感覚で利用できる低めでフラットなL字カウンター。滞在時間は平均1.5時間と回転率も高い

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「40人前の調理を一人で回す」限界を超えた決断

西方氏はイタリアンにとどまらず、居酒屋、蕎麦、焼肉、メキシカンなど、多様な業態で経験を積んできたベテランだ。その知見を活かした仕込みにより、オーダー後の工程はできる限り「切るだけ、盛るだけ」のシンプルな仕組みを構築していた。23席が平日でも2回転するほどの繁盛ぶりだったが、突然ピンチは訪れた。主力調理スタッフの急な欠員だ。

仕入れに合わせて柔軟に調整できる黒板メニュー。視覚的訴求力も抜群だ

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「仕込みをどれだけ万全にしても、ワンオペで4品同時に調理し続ける状況はさすがに厳しいです。オープンキッチンなのに、お客さまと十分にコミュニケーションを取る余裕もなく……。閉店後は動けなくなるほど疲れ果てていました」と、西方氏は繁盛店ならではの過酷さを吐露する。

大忙しだった日々を遠い目で振り返る西方氏

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この状況を打破したのが、自走力ある既存スタッフたちの踏ん張りと、個性あふれる新スタッフたちの加入だ。明確な役割分担によりオペレーションは再編され、わずか1か月でキッチンも複数体制へと復帰した。

「既存メンバーには本当に助けられました。創業時から一緒に店を育ててきた仲間ですから、柔軟性が求められる日々の業務でも、それぞれが自分で考え、必要な場面で即断してくれています。だから僕も安心して背中を預けられるし、厨房がワンオペ状態の期間も乗り越えることができました」

日高昆布、大分産どんこ、宗田鰹、鯖節など上質な出汁を含み柔らかくなったトマト。カットにもコツがいる

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。