坪月商100万円の立ち飲み店、学芸大学『サンヤ』。感性とロジックが融合した新世代の店づくり
ペルソナを設定し、ファーストオーダーで高価格帯商品を売る
ところが、これだけ素材にこだわりながらも、酒類も含めたトータル原価率は27%程度に抑えられている。これを支えるのが、売上の60%を占めるドリンクの出数だ。加えて、客単価を4,000円に到達させるための設計図ともいえる、詳細なペルソナ設定に基づいたシミュレーションを徹底している点も大きい。
「具体的には『結婚して奥さまがいる30歳の税理士。門限は23時』など、細かくペルソナを設定します。そこからどういうメニュー構成だったら、4,000円分の商品を訴求できるかを計算します。例えば380円(A)、500円(B)、900円(C)というプライスゾーンに分けた商品群があったら、Aを3品注文されても4,000円には届きませんよね。だからCの商品群にできるだけ1品目、2品目に頼んでもらう看板メニューを置かないといけない。税理士なら満腹になっても、お金に余裕があり飲み続けるはずなので、つまめる系の商品をBに置く。このように何パターンも設けたペルソナごとに、4,000円に到達するための注文想定リストをエクセルで作成するのです」
『サンヤ』の看板商品は、各960円の「三谷ればぁにら」と「芝浦ホルモン3種煮込み~塩~」。スタッフは新規客の最初のオーダーテイクに、くだんの生産者の想いも込みで、芝浦の朝締めホルモンの魅力を伝える。そして「特におすすめなのが(前述の)レバーとホルモンの煮込みです」という一言を添えれば、大抵のお客はファーストオーダーでどちらかを選択するという仕組みである。
遊び心ある店づくりの裏で緻密な計算ができるから強い
汗水たらして体を動かすDIYとは一変、机上で頭を使った緻密な方程式をつくる術を株式会社souzouは兼ね備えている。後者は曽我氏が大学卒業後に勤めた、数字に強く合理的な店舗展開を得意とする株式会社TBIホールディングスで学んだ影響が大きい。代表の曽我氏だけでなく、幹部3名もTBI出身者だ。だから、自分たちの感性・価値観で築いた「かっこいい店」に酔って溺れることなく、ロジカルな思考で勝ち筋を描けるに違いない。今後の展望についても曽我氏はこう語る。
「僕らは引き続き出店していきますし、やることは変わりません。自分たちが飲みに行きたいと思えるような店をつくり続けたいです。ただ、どんぶり勘定では利益は出ないから、裏でしっかりとした計算、利益を出すための仕組みを成り立たせた上で」
新規出店の際には古民家にこだわるのかと聞くと、「それよりも街に馴染む店をつくりたい。単に自分たちがやりたい店をつくればいいとは思いません。地域社会と住民をつなぐ役目を、飲食店は果たせると信じています」と、熱を込めて語る若きオーナー。
2025年2月の『目黒 三谷』の2周年パーティーでは、7.7坪の店に2日間で計300人のファンが押し寄せたことからも、学大で愛され、西口商店街をよりブーストさせた自負がある。今度は別の街を盛り上げるために、感性とロジックを両手に携え、愚直に突き進む。
『サンヤ』
住所/東京都目黒区鷹番3-14-6
電話番号/03-6312-2261(目黒 三谷)
営業時間/19:00~26:00(フードL.O.25:00、ドリンクL.O.25:30)
定休日╱木曜
坪・席数/3坪・カウンター12席(スタンディング)








