年間10万人を集客! 北千住の古民家酒場『萌蔵』が勝ち続けるドミナント戦略の極意
「年間10万人集客」で起きたイノベーション
こうしてここまでに、北千住の細い路地裏に業態の異なる4店舗がそろった。すると、それまでとは異なる状況が見えてきたという。
「『南蛮渡来』をオープンさせたあとに、この路地裏に結構たくさんの人が集まるようになったんです。そこで何か目標を立てたいなと思って、『年間10万人を集客する』という具体的な目標を立てました。達成するためには、ここに様々な客層、いろいろなジャンルの人たちを集めなければならない。検討した結果、これまでとは業態の異なるバーガースタンド『ボッサバーガー』を、この通りの店舗の2階に空きが出たタイミングでオープンしました。それからまもなく、年間10万人の集客を達成することができました」
さらに島川氏は、「どうして目標を10万人にしたかというと、特に裏付けがあったわけではないですが、何かイノベーションが起こるのではないかと思ったんです」と続けた。実際に、目標を達成してから取材などで露出の機会が増加し、確実にお店や北千住自体の認知度も上がっていった。
来店客の層は20代から60代、70代と幅広い。以前は地元客が大半だったが、近年では都内はもちろん、千葉や埼玉などの近県からの来店も多い。さらに駅前地域での再開発や高層マンションの建設などで様々な地域から北千住に移り住む人も増え、街自体の活気やいい意味での緊張感も増してきたという。
「北千住の路地裏にアミューズメントパークを作りたい」
明珠が手掛けるお店は『萌蔵』をはじめ、どこも女性客が多い。島川氏の表現するレトロな世界観が女性の心を捉えているのは間違いないが、料理やドリンク、デザートなどのメニューづくりもあえて女性を意識したのだろうか。
「よく女性客が多いお店には男性客も集まるという話がありますが、あまりに女性が多いと男性は入りにくいだろうと思って、以前に男性も入りやすいようなインテリアに改装したことのあるお店もあるんですよ。最初は男性客も増えたのですが、結局はやはり女性客が大半になりました。そんなことからもメニューは女性の好みを意識して作っています。でも、あえて女性客をターゲットにして作り込んだというよりは、来ていただいているお客さまたちが好みそうなラインアップにしているという感じです」
北千住という一つのエリアで、複数の異なる業態を成功させている島川氏。まさに「ドミナント戦略」の成功例といえるが、実はさほどそのことを意識していたわけではなかったという。
「北千住にはあらゆる業態の飲食店があって、競合しないジャンルはないですね。だから言ってみれば、どんなジャンルのお店でもいいんです。そこにしかない、世の中に一つだけのお店を作ったら、その個性を大切にして、来てくれたお客さまが次は何をしたいかを想像しながら、次に出店する業態を考える。北千住の路地裏にアミューズメントパークを作りたいと思ってやってきました。結果として、周りから『ドミナント展開』といわれるようになったんです」







