坪月商80万円の高円寺『あんぽんたん』。赤字スタートから辿り着いた“人間力一本勝負”の現在地
「あんぽんたんな店主が始めた明るい店」がキャッチコピー、元気な接客で人気を博すワイガヤ系居酒屋が高円寺の『あんぽんたん』だ。楽コーポレーション出身の店主・梶田雅之氏(44歳)は、2019年の開業後、地道な経営で月商850~900万円、坪月商約80万円(11.2坪)を稼ぐ繁盛店へと成長させた。
店が軌道に乗った背景にあるのは、梶田氏が楽コーポレーションで培った11年間に及ぶ経験。「楽で学んだことがベース」と言う梶田氏に、楽イズムを踏襲した勝ち筋のつくり方を聞いた。
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人材リソースが若返り、サブカル強めの街にアジャスト
高円寺といえば、古着店やライブハウスなどが密集し、都内でもサブカルチャー色が強い街。特に近年はサブカルチャーにハマる若者が増え、週末は観光客でにぎわう。その影響で『あんぽんたん』の客層は20代前半がメインだが、本来のコンセプトは「誰でも入りやすい“ちょうどいい”居酒屋」。創業時の客単価は2,800円(現在は3,800円)と手頃で、梶田氏が現場に立っていたコロナ禍までは、今よりも年齢層が高い老若男女が集う店だった。
「今の売上を出せるようになったのは2年前ぐらいからです。アルバイトを含めて若いスタッフがどんどん働き始めて、同年代の若いお客さんが来るようになったとすごく感じます。ただ、全然(若い客層を)狙っていなかったし、若返ったスタッフや店のポップな雰囲気がたまたま街にフィットしただけです」と梶田氏は苦笑い。
現在スタッフの年齢層は20~30代前半と20代が中心。梶田氏は続けて補足する。
「やっぱりいいスタッフがそろっていれば、いいお客さんも集まります。そのサイクルをつくったことが(繁盛した)一番の理由かな。うちのスタッフはみんな、ちゃんと接客ができるし、いい仕事をしてくれますから。今は彼女が店長で、全部を任せている感じですね」
そこで紹介してくれたのが、取材中、仕込み作業を行っていた正社員の吉田舞さん。彼女はもともとお客で、会社勤めをしながら同店でアルバイトを始めたが、元いた会社を辞めて飲食業界の道を選んだ。それ以外のスタッフも元常連客がほとんど。彼らは店主との距離が近く、親しみを込めて「マサさん」と呼ぶ。
経営は人ありき。待遇&職場環境の向上を最重視
吉田店長に梶田氏の人柄について聞いてみると、「人間力一本勝負って感じですね。めっちゃ人たらしだと思う。たぶん関わった人はみんな、何か困ったときにマサさんに連絡すると思います」と答えてくれた。
すると、厨房にいた男性スタッフが相槌を打つ。「俺もそう。最近、自分でお店をやろうと思って物件を探していたけど、いろいろあって物件探しは一旦止めて働こうと思ったんです。そこでパッとマサさんが頭に浮かんで連絡して、ここで働かせてもらっています」と教えてくれた。彼は梶田氏が独立前に勤めていた楽コーポレーション時代の後輩。当時はアルバイトで職場が変わった後も同氏を慕って、たまに会っていたという。
楽コーポレーションのOBであり、ベイシックス代表取締役の岩澤博氏も同店のオープン時に訪れ、梶田氏のことを「人間力の塊みたいな男」と評した。けれども、当の本人は全くピンときていない……。
「ガンさん(岩澤氏の愛称)がそう言ってくれたのはありがたいですけど、(人間力について)あまり考えたこともなくて。人間力って曖昧な言葉じゃないですか。正直よく分からないです」
梶田氏はバツが悪い顔をしてから、少し間を置いてこう話した。
「確かに(経営は)人ありきなので。みんなが楽しく働ける環境については結構考えていますね。給料面だとか、スタッフ間の関係とかのストレスで働きにくかったら、全部営業につながるじゃないですか。一人ひとり、その子らしく100%の力を出せる環境をつくれれば一番いいかなと思っています」



