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坪月商80万円の高円寺『あんぽんたん』。赤字スタートから辿り着いた“人間力一本勝負”の現在地

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店舗はJRの物件。高円寺駅や電車がモチーフの壁画は元従業員が制作した

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「楽」代表・宇野氏の言葉、「商売は難しくない」を信じて

あんぽんたんカンパニーは正社員8人、業務委託6人、アルバイト15~20人を雇う。「人件費は他社に比べたら高い方だと思います。ある意味、人件費が売上をつくっていると思うので。社員の休日は月8~9日、ボーナスも年2回出しています。給料が安い・休みが少ないイメージがある、この仕事の価値も上げたいです」と語る梶田氏。また、同社は社員、アルバイトなどの垣根を越えて遊びや社員旅行に行くことも。2026年には同社初のベトナム旅行を企画している。

「そういうものも含めて楽しいことをみんなで共有したり、みんなの仕事へのモチベーションを上げていく。ずっと変わらず僕がやっているのはそんなものですよ」

取材の途中、梶田氏はおもむろに席を立つと1冊の本を持ってきた。尊敬する楽コーポレーション代表取締役、宇野隆史氏の著書『たった3品で繁盛店はできる! 居酒屋の神様が教える小さな商売のつくり方』だ。

「この本の通り、お父さん(宇野氏の愛称)は『そんなに商売は難しくないよ』って説いている人。その時代に合わせて、出すメニューや食材、値段とかをちょっとずつブラッシュアップさせるだけで、基本的な考え方は変わらないと。『明るい接客』と『ぼちぼちの料理』と『ほどほどの値段』でやり続ければ、そんなに失敗しないというか、売れないことはないと思うんです。うちも赤字スタートで、売れるまで5年近くかかりましたから」

フードもドリンクもコミュニケーションツール

接客重視の同店では、お客との会話で盛り上げるのは当然。従業員の行動が丸見えになるオープンキッチンの空間を逆手にとって、スタッフ同士も積極的にしゃべるそう。「そのやり取りを見て、お客さんが笑ってくれる。そこから話のネタを飛び火させる感じです」と梶田氏は言う。

フードの価格帯は500~1100円台が中心。ドリンク込みの原価率は優秀で約28%

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料理やドリンクにも接客に活かせるアイテムを用意。吉田店長が考案した冬季限定の「すぐ出るワンカップおでん」は、ミニサイズのおでんダネ6種を空のワンカップに入れた状態で営業中に湯煎する。注文後にそのまま取り出し、辛子を添えてサッと提供できる仕組みに。

「オーダー後、2秒で出せます。『おしぼりよりも早く出せる』を売り文句に、お客さんを驚かせたりしますね」と、梶田氏は笑う。

「すぐ出るワンカップおでん」(660円)は1人で食べやすいサイズ。SNS映えを意識しパンダ柄で統一

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ドリンクでは「フェロモンサワー」、「絶倫サワー」(各550円)といったお客が気になり、つい聞きたくなるネーミングの割もの系が多い。同店らしいのが「これは何ですか?」と聞かれても、内容を教えるものもあれば、あえて教えないものもあること。

「『フェロモンサワー』はライチのようないい匂いがする芋焼酎『だいやめ』です。もう全国的に流行っていますよね。『絶倫サワー』の内容はあえて教えません。『まあ、飲んで確かめてくださいよ』と言えば、頼んでもらえます」と、吉田店長が説明した。

ドリンクは約40種。日本酒も約5種がそろう(グラス550円、一合880円)

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。