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坪月商80万円の高円寺『あんぽんたん』。赤字スタートから辿り着いた“人間力一本勝負”の現在地

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取材当日のスタッフと店主・梶田氏(中央)。手前右側が店長の吉田舞さん

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メニュー開発よりも接客、極論は「楽しいか楽しくないか」

ドリンクの追加オーダーの勧め方には、ちょっとしたテクニックも。お客のグラスが空いた際、「次どうしますか?」と聞くだけでなく、例えば「フェロモンサワー」を飲んでいる人がいれば、「次は『絶倫サワー』、いっちゃいますか」など、今飲んでいるものと近しいドリンクを勧めるのだ。女性客がお茶系アルコールを飲んでいたら、次に「食物繊維が豊富な高級茶葉のお酒はどうですか?」と「内臓美人 べっぴん茶ハイ」(660円)へ誘導する。

客は具体的なメニュー名を出されれば、迷わず注文できる。心理的にも“一択”で勧められたら、思わず頼んでしまうもの。それらのトリック効果もあり、お酒全体の注文率は高く、梶田氏の体感ではアルコール売上率は全体の7割というから驚きだ。

酒の肴では、楽コーポレーション仕込みの「3種の神器(煮込み、刺身、焼鳥)」のうち、焼鳥だけを替えて生肉を起用。「やわらかこんにゃくと牛すじ煮込み」(693円)、3~4種の「日替り鮮魚」(900円前後)、数量限定の「馬とろ生つくね」を3大名物としている。

「馬とろ生つくね」(748円)は馬肉の端材を入荷してコストカット

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「馬とろ生つくね」とはユッケ風の馬刺しで、ウズラ卵をのせた見た目と馬肉の珍しさが若者に刺さり、注文率は7割に到達。その他も含め、同店のメニュー開発のポイントを聞くと、意外な答えが返ってきた。

「料理は知り合いの店に『いいな』と思ったメニューがあったら、許可を取ってパクったものが中心です。「馬とろ生つくね」もそれでできました。メニュー数も30品に絞って、簡単に作れるものしか出しません。商品開発や調理に時間をかけておいしい料理をいっぱい出そうというよりも、それらを省いて余った時間でしっかり接客しよう、というのが楽の教え。それを忠実に守っています。もちろん、自分たちでも多少メニューは考えますけど、大事なのは結局(営業中に)楽しいか、楽しくないかだと思うんです」

「サバ缶味噌マヨグラタン ガーリックトースト」(935円)も他店からの“パクり系”だが、味噌味のサバ缶にアレンジ

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店舗展開から音楽イベントまでマルチロールな「面白い会社」へ

2025年10月には7坪の立ち飲み酒場『ちびぽんたん』を旗艦店から徒歩20秒の至近に立ち上げ、あふれた客を流せるようになり、さらに売上を伸ばす同社。その前年には喫茶店業態の『梶田珈琲』を中野に、『居酒屋まる』をベトナムにオープンさせた。多角的な経営を行う店主が打つ、次の一手とは?

「年内には都内に新店舗を出して、来年は地方に進出するビジョンもあります。店舗数を増やして売上を上げていかないと、みんなの給料を上げられない。儲かる店をつくって、みんなが納得する給料をもらって、面白い会社にしていきたいです」

同社は店舗展開に留まらず、2023年の周年イベントではディスクガレージと組んで、大掛かりな音楽イベントを開いた実績もある。「また音楽イベントやケータリングなど、いろんなことをやりたい」と声を弾ませる店主のマサさん。スタッフをはじめ多くの仲間を惹きつける人間力で、さらなるステージへ突き進む。

『あんぽんたん』
住所/東京都杉並区高円寺南4-9-1
電話番号/03-5356-7355
営業時間/17:00~24:00(フードL.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)
定休日╱不定休(月1日程度)
坪・席数/11.25坪・29席(カウンター12席、テーブル17席)
https://www.anpontan-kouenji.com/

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。