池尻大橋の人気カフェ×バー『nova』。柔軟な空間設計とメニュー構成で昼夜の需要を総取り
「個」に寄り添う役割分担の業態とドミナント戦略でエリアに根を張る
『nova』のコンセプトは「朝から夜まで、1日を通して楽しめる空間」。周辺には長時間営業する個人経営のカフェが少ないことから、「コーヒーやスイーツ、食事をいつでも提供できる環境」を意識している。
「現在はランチ帯からの営業ですが、開店当初は朝8時にオープンしていました。コーヒーを飲んでホッと一息というカフェから食事、深夜帯のバー利用まで、その日の気分に合わせて過ごし方を選べる空間をつくりたかった」と話す榊原氏。また機会をみてモーニング帯の営業も再開する予定だという。
同社は、同じ物件の2階に喫茶店『drip(ドリップ)』、徒歩10分圏内に創作和食居酒屋として営業する『OMA』を展開している。また、中目黒のカラオケスナック『ドリーム』、原宿のカフェ『Locul Cafe』も運営し、順調に店舗展開を進めてきた。
池尻大橋を中心にドミナント展開を進める理由について、榊原氏は「もともと土地勘があったことに加え、クリエイティブ職やファッション関係者、アーティストなど感度の高い方が多く、それでいて気取らない空気感があるのが魅力です。昔ながらの商店と新しい店が自然になじみ、新しい取り組みにも挑戦しやすい土壌があります」と語る。
榊原氏は、幅広いジャンルの飲食店の企画・プロデュースを手がけるTRANSIT GENERAL OFFICE(現トランジットホールディングス)出身。そこで培った業態開発の経験が新店舗運営に生かされているという。スタッフの中にはトランジット出身者、国内外のブランドカフェでの経験を持つ腕利きのメンバーも在籍しており、チーム全体で培ったノウハウを共有しながら店舗づくりを進めている。
客層は20~30代の若い世代が中心だが、中高年層にもファンは多い。昼は近隣で働くビジネスパーソンや散歩中の地域住民がふらりと訪れ、夜ははしご酒や“夜カフェ”として楽しむ人の姿も見られる。
幅広いメニュー構成で昼夜の需要に対応
看板メニューは「ベーコンエッグパンケーキ」(1,850円)。外はサクッ、中はふわっとした食感に仕上げるのが特徴だ。ベーコンエッグに甘さ控えめのクリームとメープルシロップを添え、甘さと塩気のバランスで最後まで飽きずに楽しめる。
「生地を独自に配合し、昔ながらのホットケーキと、ふわふわのパンケーキの中間のような食感を目指しました。視覚的にも楽しく、中高年層の方にも『食べてみたいね』って思っていただけるような1品に仕立てました」
朝食のイメージが強い「アサイーボウル」(1,900円〜)は、1日を通して「スタンダード」と「旬のフルーツ」の2種類を用意する。夜もアサイーを楽しめる店は限られるため、夜間はアルコールを飲まない層や、ヘルシーなスイーツを求めるお客を的確に集客。新たな層を呼び込む人気コンテンツの一つとなっている。
この他、「オムライス」(1,450円)や「アボカドトースト」(1,700円)など、カフェならではの見た目も華やかなフードメニューがそろう。スイーツも、キャロットケーキやバスクチーズケーキ(各800円)など、充実のラインアップだ。
バータイムはこれまで酒のアテとなる軽食が中心だったが、この春のリニューアルで、パスタやピザなどボリュームのあるメニューを追加。夜の時間帯でも、食事を軸にゆったり滞在できる構成へとアップデートした。
ドリンクもまた、幅広いジャンルをカバーする充実ぶりだ。シグネチャーカクテル10種類(1,100円~)やオーセンティックなカクテルも多数そろえ、スタッフ全員がカクテルを作れる体制を整備。バーが好きな人はもちろん、カクテルと合わせて深夜にスイーツを楽しむお客も多い。
客単価は昼が約1,500円、夜は約4,000~5,000円。同じエリアで3店舗を展開しているが、それぞれの店舗には異なる役割や特徴がある。こうした差別化を実現できているのは、トランジット時代に培った業態開発の経験が、判断や企画のベースになっているためだという。
「にぎやかな雰囲気で過ごしたいとき、スイーツや洋食が食べたい日は『nova』、和の気分で居酒屋メニューを楽しみたいときは『OMA』、ドリップコーヒーと共に、1人でゆっくり読書や作業をしたいときは『drip』と、店舗ごとに提供する体験や空気感を大切にしています」(榊原氏)








