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ヒットメーカー『SANYA』が小商圏・祐天寺にあえて出店。凱旋初月から月商600万円と絶好調!

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写真左から『祐天寺SANYA』のカフェ事業責任者・髙橋大樹氏、店舗責任者・中島涼太氏、代表・曽我翔太郎氏、副代表・釜石悠樹氏

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学芸大学の炭火焼き居酒屋『目黒 三谷』や立ち飲み酒場『サンヤ』など、創業3年目でヒット業態を連発している株式会社souzou。独自の世界観を創出する古民家DIYなどでお客の体験価値を高める手法を続け、勝ち筋を導いてきた。その最新店が『祐天寺SANYA』だ。2026年3月15日オープン後の初月月商は600万円と好発進。席(22席)の約9割が予約で埋まり、曜日を問わず満席状態が続く。

祐天寺は、同社代表・曽我翔太郎氏(33歳)の出身地であり、今も暮らす愛着のある街。満を持して開いた古民家DIY系居酒屋には、思い入れが強いだろう。一方で、系列3軒が立つ酒場激戦区の学芸大学、三軒茶屋での営業とは勝手が違うはず。小商圏・祐天寺での成功のカギは「地域との共生」と語る真意を聞いてみた。

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駅から徒歩1分の『祐天寺SANYA』。2025年2月の『サンロード』閉店をどこよりも早く知った地元民の曽我氏は、自ら大家を探し出し、同年8月に物件を押さえた(写真提供:株式会社souzou)

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有名居酒屋はあるも“飲み歩けない”から人流が少ない

『祐天寺SANYA』は、祐天寺栄通り商店街で40年間営んだ紳士服店「サンロード」の跡地にて開業。曽我氏は会社創業時の2023年から祐天寺への出店を念頭におき、将来の大きなミッションと捉えていた。それが「前から狙っていた」商店街の好物件との出合いから、想定よりも早い段階での出店を決意。ただ、商売を起こすには簡単な街ではないことも理解していた。

東急東横線の中目黒と学芸大学の狭間、祐天寺。地場の自転車店が実家の曽我氏は、街の実情を把握する。「地主との関係性からマンション・アパートが建てづらく、世帯数が少ないですね。人流は学芸大学の3分の1以下だと思います。人手不足などから潰れる店が多く、店の入れ替わりも激しい。飲食店自体が少ないです」と語り、地域の居酒屋事情についても言及する。

「有名な『(もつやき)ばん』さん、『忠弥(ちゅうや)』さんなどの老舗は盛り上がっています。最近では新しい人気店も増えています。けれども数が足りない。『二次会に行こう』となったときに、老舗は夜遅くまで営業していないので、そもそも入れない。料理のジャンルも、和洋折衷いろいろな居酒屋がありません。飲み歩けないから『じゃあ、学大で飲もうか』となりますよね」

3月8日(「三谷」の日)に行ったレセプションパーティーには330人以上が来店し、地域での注目度の高さがうかがえた(写真提供:株式会社souzou)

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キーワードは「呼び水」。競合との相乗効果で勝ち筋を描く

そこで若きオーナーは、自身の会社が呼び水となって、地域に新しい活気を生むことを志す。経営目的に「僕らがつくった店が街に渦をつくる」と従業員に提示していたのも、将来の祐天寺での実装を見据えていたため。曽我氏は気概を言葉にする。

「地元・祐天寺で地域との調和を壊さない飲食店をつくり、僕らに追随して街と馴染むお店が増えてくれたら、地域にポジティブな部分が生まれる。そうすれば、祐天寺を目がけて訪れる外来客の導線をつくることができる。その結果、潰れる店がなくなり、街が活気づく。店単体で儲かればいいという感覚はまったくなくて、(競合店も含めた)相乗効果で街全体に良い流れを持ってこられればと思います」

『祐天寺SANYA』のコンセプトは、「地域と共生し、新たな祐天寺の呼び水になる場所」。飲食店らしからぬコピーだが、そもそも彼らには「飲食店=食事をする場所」という概念があまりない。株式会社souzouは運営する店舗を「作品」と捉え、空間設計をはじめ、クリエイティブな仕事に定評がある。既存の3軒はいずれも居酒屋の枠を超えた体験価値の高い店として成功し、自信を深めた。

だから今回も、「体験価値が求められる店なら場所は関係ない。祐天寺でも外部の街から人を呼び込む店づくりに日夜精進中です」と曽我氏。業態も初号店『目黒 三谷』と同じ炭火焼き居酒屋をベースに展開。集客手段は開業前にインスタグラムのアカウントを立ち上げたのみで、内容もDIYの経過を写真でたまに伝える程度だった。

インスタでは粛々とDIYの様子を伝えた。写真は階段の土台となる丸太の搬入(写真提供:株式会社souzou)

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それでもオープン前のフォロワーは700人(現在約1,500人)に到達。なお、『目黒 三谷』のインスタのフォロワーは1.6万人超! 開店後、曽我氏の肌感覚では、来客の7割が姉妹店を認知している外来客だとか。応援してくれる多勢のファンを引き込む吸引力が、祐天寺でも“売れる”理由に違いない。

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。