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月商1,000万円の国分寺『食堂 猿乃拳』。エリアNo.1の接客集団をいかに育てたのか?

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スタッフ一人一人が輝く店内。今ではSNS経由や紹介で、求人をかけずとも人が集まる状態に

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あえて早期離職を促す? 定着率9割を実現する「5日間の座学研修」

絶望的な状況からのV字回復のきっかけの一つは、Instagramのショート動画が13,000回以上再生されるなど、SNSでのバズりだった。しかし、栗原氏は「一時的に来客数が増えても、お客さまの満足度が上がらなければただのエンタメ店で終わってしまう。それを防いだのは、間違いなくスタッフのサービス力でした」と断言する。

素人の大学生たちを、いかにして「国分寺で一番」と自称する接客集団へと育て上げたのか。その秘密は、あえてハードルを設けた「5日間の座学研修」にある。

「アルバイトとして採用した子には、まず5日間の座学を受けてもらいます。実は、うちを辞めていく子のほとんどは、働く前かこの座学の段階で離脱するんです。理由は、業務連絡用のグループLINEの熱量が高すぎて違和感を覚えたり、理念を見てビビってしまったりするから。でも、それでまったく問題ありません。むしろ、合わない子が早めに辞めてくれる分、お互いにとって不幸にならないし、教育コストもかかりませんから。逆に、この5日間を乗り越えた子の定着率は9割を超えます。マジで辞めません」(栗原氏)

若者を定着させるために、栗原氏がもう一つ強く意識していることがある。それは「いきなり飲食の仕事を好きにさせようとしないこと」だ。

「今の大学生スタッフにとって一番大切なのは『横のつながり』です。だから、まずは飲み会などを通じて『仲間が好き』『この店が好き』という気持ちをつくります。そこから最終的に『接客が好き』『飲食が好き』へとグラデーションのように移行させればいいんです」

「最初から飲食への愛を強要しないことが、彼らが楽しく働き続けられる理由の一つです」と栗原氏

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カリスマ性に頼らない! 140項目のQSCチェックとアプリによるシステム化

『食堂 猿乃拳』の強さは、栗原氏ら創業メンバーの「カリスマ性」や「熱量」といった属人的な要素に頼るのをやめ、それらをすべて「システム化」した点にある。

その象徴が、全140項目にも及ぶ「Quality(品質)、Service(サービス)、Cleanliness(清潔さ)」のQSCチェックリストだ。ホール、ドリンク、キッチン、板場など各ポジションにおいて、「何ができているか」「何を教わったか」をスマートフォン上で徹底的に可視化している。

「新人の子が『今日はこれを教わりました』とスマホのメモでチェックできる状態をつくっています。何ができるようになれば時給が上がるのかという基準が明確なので、スタッフ自身が自発的に目標を持って働けるんです。教育も僕ら経営陣ではなく、アルバイト内の『教育チーム』が主導して行える仕組みができています」(栗原氏)

自作のツールを駆使し、教育の進捗を可視化。教える側も教えられる側も迷いがない

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さらに、社内のコミュニケーションと評価を劇的に変えたのが、業務の振り返りを行うアプリ「botto(ボットー)」の存在だ。

「アルバイト一人ひとりがその日の営業日報や課題を書き、それに対して店長やリーダー権限を持ったスタッフがコメントを返します。これがスコア化され、毎月の評価に直結するんです。店長が誰に対してどんなフォローをしているのか、誰がどれだけがんばっているのかという『仕事のプロセス』がすべて全員に見える化されたことで、導入前に比べてチーム全体の熱量が爆発的に上がりました。一方でグループLINEも活用していて、こちらはマインドなどの共有に使っています。この使い分けがうまくいきました」(栗原氏)

シフト参加の呼びかけなどもグループLINEで一元管理している

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。