坪月商40万円の外苑前『モツ酒場 kogane』。ソムリエ本気の“熱燗居酒屋”【連載:居酒屋の輪】
なぜ、外苑前のモツ居酒屋が連日予約で埋まるのか。繁盛の鍵は豪華食材でも大資本でもない。コロナ禍に売上がほぼゼロになった経験を経て、ソムリエ出身の経営者が辿り着いた「常連8割の作り方」とは?
東京・外苑前という洗練された大人が集う街で「モツ酒場」の概念を覆したのが『モツ酒場 kogane(こがね)』だ。20坪40席という規模で坪月商40万円(月商約800万円)を叩き出し、来店客の7~8割が常連というコアなファンベースを築いている。
仕掛け人はソムリエ出身の経営者・渡部武志氏。2019年春のオープン直後にコロナ禍が直撃し、当初見込んでいたインバウンド需要は完全に消失。売上がほぼゼロになる絶望的な状況を経験しながらも、驚異的な軌道修正を果たした。「大切にしているのは、目の前の売上よりも10年以上続く店づくり」——。そう語る渡部氏の言葉に、繁盛店を生み出し続ける秘訣が見えた。
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イタリアンの第一線から「モツ酒場」へ。異業種参入の裏にあった確かな勝算
渡部氏はWDIやひらまつグループなど、名だたる企業でイタリアンや高級ワインバーの立ち上げ・マネージャーを経験してきた生粋のソムリエだ。2012年に共同代表の山口高志氏と株式会社コローリ(colori)を立ち上げ、外苑前『+ebi-ro(エビイロ)』、池尻大橋『+ruli-ro(ルリイロ)』など、イタリアン業態でヒット店を重ねてきた。
そんな彼らが2019年4月25日にオープンさせたのが、まったく畑違いの『モツ酒場 kogane』だ。イタリアン一筋で歩んできた経営者が、なぜあえて「モツ×日本酒」という未開のジャンルに挑んだのか。そこには、感情ではなく冷静な市場分析があった。
「このエリアで長く商売をやっていく中で、街に足りないもの、ここにこういう店を出せば喜ばれるだろうなという視点から考えたんです。別にモツが好きだからというわけでも、日本酒が得意だったわけでもありません。なんなら僕はモツを食べられないタイプでしたから」
ソムリエとしてワインを扱い続ける中で感じていたのは、イタリアンという業態の来店頻度の天井だった。月に1回の特別なディナーではなく、週に1回、あるいはそれ以上、肩肘張らずにふらりと立ち寄れる客単価の店を作りたい。外苑前という洗練された街において、質の高い料理とお酒を居酒屋価格で提供するギャップにこそ勝機があると踏んだのだ。
「安くておいしければ来てもらえる、ではなく、このエリアのお客さまが何を求めているかを徹底的に考えました。それがたまたま、モツと日本酒だっただけです」





