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坪月商40万円の外苑前『モツ酒場 kogane』。ソムリエ本気の“熱燗居酒屋”【連載:居酒屋の輪】

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坪月商40万円を支える「明日からやろうぜ」。飽くなき日々の改善とは?

「メニューは最初から正解があるわけじゃありません。相方の山口と現場スタッフが日々意見を出し合い、修正し続けることで今のラインアップになりました。もちろん、今が一番だとは全然思っていません。新しいことを考え続けて、思いついたら『明日からやろうぜ』と言えるスピード感を大切にしています」

この言葉が、現在の数字を作り出している。20坪40席で坪月商40万円、月商約800万円。客単価約5,500円で2~3回転は当たり前。平日は近隣のオフィスワーカーが仕事帰りに立ち寄り、週末は地元住民や神宮球場観戦帰りの客で溢れかえる。この人気を支えるのは、良質なモツとイタリアンの技法が融合した独創的なメニュー群だ。

「リードヴォーとトウモロコシのかき揚げ」(990円)。ペコリーノ・ロマーノたっぷりでお酒を誘う

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例えば、大人気の「リードヴォーとトウモロコシのかき揚げ」。リードヴォー(仔牛の胸腺)はトウモロコシの甘みと合わせ、羊乳のチーズをこれでもかとかける。これが熱燗にも、ワインにも抜群に合う。仕入れは共同代表・山口氏のつながりから屠殺場直送という鮮度抜群のモツを使用し、素材の質を妥協しない。

ファンが多い「レバー最中(660円)」も、この日々のブラッシュアップから生まれた一品だ。鶏レバーを2回ミキサーにかけて漉し、極限まで滑らかにしたムースに、サツマイモとマスカルポーネを合わせたマッシュポテトを重ねる。醤油と砂糖で大学芋風に仕上げたチップスと、隠し味のエスプレッソソースが一体となり、まるでティラミスのような多層的な味わいを生み出す。

「モツ酒場」と聞いてモツ煮や串焼きを想像するお客が、初めてこの皿を口にした時の顔を渡部氏は何度も見てきた。その驚きが、口コミとなり、予約となり、常連へと育つ。天才的なひらめきではなく「日々のブラッシュアップ」の積み重ねが、この店の本当の競争力なのだ。

重ね合わせて味わう「レバー最中」(660円)。最中、チーズ、サツマイモチップス、鶏レバー4層の食感と味が見事に調和する

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次の挑戦は「焼酎の再定義」。それでも渡部氏が守りたいのは仲間の笑顔だ

創業10周年を超え、確固たる地位を築いた株式会社コローリ。次の一手として、学芸大学に3階建て・約40坪の大型新店舗『Shironeri』をオープンする。初期投資は5,000万円を超えるビッグプロジェクトだ。

ここで彼らが挑むのは「焼酎」と「和洋創作料理」の組み合わせ。ワイン、日本酒ときて、次は焼酎……。その理由を渡部氏はこう語る。

「ここ最近、ナチュラルワインの価格が上がりすぎて、若者たちが耐えられなくなっている現状があります。そこで、手頃な価格で多彩な味が楽しめる焼酎に注目しました。ただ流行りの香りが良い焼酎を並べるのではなく、僕らがやりたいのは『お湯割り』の再定義です。温度帯を3つほど用意し、ソムリエの感性で最高の状態で提供する。新しいアプローチで、焼酎の魅力を伝えたいんですよ」

熱燗で培った「温度」の哲学を、今度は焼酎に注ぐ。100種類以上の焼酎を揃え、学芸大学という活気ある街で大勝負に出る。

一方、規模の拡大そのものを目的にはしていない。かつての人気店『+ebi-ro』を、長年店長を務めた元社員に破格の条件で譲渡し、現在は外苑前『gnudi』として予約困難店にまで成長させたエピソードが、その姿勢を物語る。

「店舗数を闇雲に増やしたいという欲はありません。今いるスタッフを守り、納得できる給与や賞与を払い、働く時間も適切に管理する。スタッフが長く働ける環境をつくることが、結局は『10年続く店』に繋がるんです」

目指すベクトルが「規模」ではなく「スタッフの幸せ」に向かっている渡部氏

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「モツ酒場」の概念を塗り替えた『kogane』の成功は、単なるスキマ狙いの勝利ではない。街のニーズを読む観察眼、異ジャンルから学び続ける謙虚さ、そして共に歩む仲間への愛。そのすべてが噛み合った時、外苑前という洗練された街に、10年、20年と愛される黄金色の灯火が輝き続けるのだ。

『モツ酒場 kogane』
住所/東京都渋谷区神宮前3-42-15 Megビル1F
電話番号/03-6271-4953
営業時間/18:00~24:00(土曜15:00〜24:00、日曜・祝日15:00〜23:00)
定休日/無休
坪数・席数/20坪・40席

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。