坪月商36万円を売る祐天寺のワンオペ小皿中華『2-10』。7品3,800円のスターターが奏功
東急東横線・祐天寺駅から徒歩5分の半地下に2026年1月30日、小皿中華の『2-10(ニカラジュウ)』がオープンした。わずか6.8坪、カウンターとテーブル1つを合わせて13席という小箱ながら、平日でも満席の1回転を安定して達成し、坪月商36万円を叩き出す。平均客単価は8,000円から9,000円、ドリンクの平均注文数は4杯と好調だ。
店主の遠藤勲氏は、外食大手ゼットンで20年間にわたり料理長や統括料理長、商品開発室などを歴任したベテラン。そんな遠藤氏が自身の独立店に組み込んだのが、予約時におまかせ7品で構成されるスターターセット「ひと揃え」(3,800円)を必ず頼んでもらうという仕組みだ。大手で数々の業態と数字を見てきた遠藤氏がたどり着いた、小規模店の経営哲学と、現場目線のノウハウを深掘りした。
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町中華の親しみやすさ×高級中華クオリティの「小皿中華業態」
遠藤氏はゼットン入社当時から独立の意向を持っていたが、いざそのタイミングを迎えたときにコロナ禍に見舞われた。しかし、この期間が結果として現在の業態を磨き上げる契機となったという。
「もしコロナ禍がなくてそのまま独立していたら、当時自分が担当していた洋食やイタリアンのビストロをやっていたと思います。ただ、その後に洋食は自分の中でやりきったと感じるようになって。そこで、自分が本当に通いたい店、飲み食いするのが好きだという原点に立ち返り、自分の技術を活かして他にはない仕掛けができるジャンルとして小皿中華を選びました」
ありそうでなかった「町中華の親しみやすさと高級中華のクオリティの融合」。それを形にするための核心が、スターターセットの「ひと揃え」だ。
「最初から予約時間、人数、そして料理内容が決まっていれば、事前の準備を完璧に整えられます。その分、店側もお客さまの顔を見てコミュニケーションを図る時間を増やすことができます。ただ、最初から最後までフルコンボで決まっているコースだと、自由度が低くてお客さま的にはつまらないですよね。だから前半はお任せ、後半はお腹の具合に合わせて自由に選べるアラカルトという二段構成にしました。私の中では、これはコースではなく『セット』という捉え方です」
自由度とオペレーションを両立する「ひと揃え」の設計思想
「ひと揃え」は、冷菜5皿、点心1皿、鮮魚の蒸し物1皿の計7皿で構成されている。しかもすべての料理は盛り合わせではなく、1皿ずつ提供されるのが大きな特徴だ。これには2つの理由がある。
「私としては一つひとつの料理に強い思い入れを持って作っています。異なる料理が皿の上で混ざり合ったり、隣同士にくっついたりするのは、食材や料理に対して失礼だと考えています」
もう1つの理由は、お客が自分のペースで食事やお酒を楽しめるようにするためだ。
「私がそういうタイプなのですが、お酒を飲む人なら、前菜のなかの特定の1品を、あえて最後まで卓上に残して、チョビチョビつまみながら飲みたいという場合があります。小皿で1皿ずつ出せば、お客さまは好きな料理を手元に残しながら、自分のタイミングで食べ進めることができ、お店側もそのほかの皿は下げられると考えました」






