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坪月商36万円を売る祐天寺のワンオペ小皿中華『2-10』。7品3,800円のスターターが奏功

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「ひと揃え」の「元宝 水餃子」は1人2個ずつ提供。アラカルトでは4個1,200円でオーダーでき、おかわりの声も(画像提供:2-10)

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8割の仕込みを完了。6.8坪の厨房で「ブレない」オペレーションの合理化

スタッフは遠藤氏のみのワンオペで、元タバッキの広報で、現在フリーランスとなり『2-10』を含む飲食店のPRを行う妻の鈴子さんがごくたまに手伝うだけ。そのため、すべてのお客にアラカルトで対応しようとすると、1人でドリンクと料理を同時にこなすピーク時に、提供スピードが落ちてお客の満足度を下げてしまう。「ひと揃え」は、そのブレをなくす目的もある。

「最初の3品は、営業前に8割方仕込んでおきます。お客さまが来店して席に座ったら、残り2割の最終調整をしてすぐに提供します。その3品を各々のペースで食べていただいている10分から20分の間に、次の2品を仕上げる設計です」

メニューには載せていない季節の野菜を使ったメニューや、定番の「酔っぱらい海老」などをスムーズに繋ぎ、6皿目の点心へと移行する。

「点心は営業前にすべて包み終えておき、注文に合わせて蒸し器や茹で器にかけるだけ。7皿目の鮮魚の蒸し物も、下処理と切りつけを事前に終え、別でソースを作っておく。営業中は蒸し上げるだけで、提供までに10分もかかりません」

厨房設備は、炒める、揚げる、煮る、茹でるのすべてを1台でこなせる特注のIH中華コンロと中華鍋を主軸に置き、それとは別に蒸し器を独立して配置している。蒸す行為を中華コンロでやってしまうと他のオペレーションが止まってしまうため、手離れのよい動線を確保した。

蒸籠は食材の調理だけでなく、日本酒を燗する酒燗器としても活用

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お酒を呼ぶ「油分」のコントロールと腹六分戦略

「ひと揃え」を設計する上で、遠藤氏が意識したのが「油分」のコントロールだ。

「ひと揃えを食べ終えた段階で、お腹の満足度が6割から7割程度に収まるようボリュームを調整しています。ここで大事なのは、油分が多くなりすぎないようにすること。お客さまが、まだ油分を欲するくらいの余白を残しておくことで、後半のアラカルトへの注文へ誘導できると考えています」

後半のアラカルトメニューは、遠藤氏自身が「心の底からおいしいと思える好きなもの」だけがラインアップされている。なかでも人気トップ3は「四川麻婆豆腐」(2,200円)、「上海式黒酢酢豚」(2,000円)、「極みえのきの香港焼きそば」(1,700円)だ。

麻婆豆腐は花椒の痺れと唐辛子の辛みを両立させつつ、豆豉をふんだんに配合。豆腐は敢えて豆感の主張が少ない、するりと「飲める豆腐」を選定している。黒酢酢豚は野菜を一切使わず、お肉だけを豪快に楽しむ上海式、香港焼きそばはシンプルに素材の良さを引き出す仕立てだ。

中国では一般的な「鮮魚の蒸し物」を「ひと揃え」の〆に。アラカルト2,000円で注文できる(画像提供:2-10)

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さらに、ひと揃えの締めを飾る「鮮魚の蒸し物」にも外食の醍醐味が詰まっている。

「飲食店のメニュー表で肉と魚のメインが並んでいると、どうしてもお肉の注文比率が高くなるんです。しかし、魚料理のおいしさも知ってもらいたいと考え、ひと揃えの中に組み込みました。本場のように魚を丸ごと1匹出すのではなく、切り身にして骨をすべて処理したおひとりさまポーションにしています。中国醤油ベースのタレに酸味と辛みを利かせ、ムニエルのような感覚で召し上がっていただけるようにしました」

ビールは「サッポロラガー中瓶」(800円)と「台湾ビール」(650円)の2種。どぶろくをベースにした人気の「梅津の笊(ざる)ハイ」(800円)や「玉櫻 殿」などの日本酒(各800円)、La Biancaraの「Sassaia」、Le Costeの「Bianco」などナチュラルワイン(グラス1,300円~、ボトル7,800円~)も置く

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ドリンクのペアリングも独自性が光る。ビールやナチュラルワインのほか、メニューに常時4種類以上を揃える純米酒は、常に湧いている蒸し器を活用した「蒸し燗」で提供する。ビーカーにお酒を入れ、時間と温度計で徹底管理しながら全体から蒸気の圧をかけて温めることで、アルコールや香りが飛びにくく、お酒本来の旨みがしっかりと残るという。静岡の酒蔵が提唱する手法を、中華の設備と合理的に融合させた形だ。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。