坪月商93万円超の原宿『THE GREAT BURGER』。LDFS車田篤氏に学ぶ人気店のつくり方
トレンドの移り変わりが激しい東京・原宿エリアで、20年近くにわたり人気店であり続けるグルメバーガーショップの『THE GREAT BURGER(ザ グレートバーガー)』。その仕掛け人である株式会社LDFS・代表の車田篤氏は、ベーカリーや定食店、そして町中華からイタリアンに至るまで、多種多様な業態をヒットさせてきた。一見すると脈絡のない多角展開に思えるが、その根底には「アメリカンカルチャー」という車田氏自身の「好き」が貫かれている。異なるジャンルに自身の「好き」を組み込み、唯一無二の価値へと昇華させるコンセプトメイクの極意を紐解く。
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運転資金ゼロで地下のカフェからスタート。人気ハンバーガー店ができるまで
車田氏のキャリアのスタートは2002年、24歳のときに原宿の地下商店街の一角にオープンしたカフェ『ease by LIFE(イーズ バイ ライフ)』に遡る。当時は空前の東京カフェブーム。食、インテリア、カルチャーが融合した空間に魅了された車田氏は、運転資金ゼロという過酷な状況から店を立ち上げた。朝9時から翌朝5時まで、365日連続で働いていたが、そこでの経験が現在の経営哲学の原動力になっている。
当時の『ease by LIFE』は、パスタからチャーハンまで何でも扱う、いわゆる間口の広い一般的なカフェだった。しかし、店舗を運営していく中で車田氏は「何者であるか」を明確に打ち出す専門店の必要性を強く感じるようになる。
「取材を受けたときに『どんなお店ですか?』と聞かれても、特徴を答えづらいもどかしさがありました。間口が広いのは魅力ですが、これだと言い切れる専門店を作りたいと考えるようになったんです」
半年ほど試作を繰り返し、『ease by LIFE』でハンバーガーを提供し始めると、これがヒット。この商品を看板としたのが、南カリフォルニアの開放的な空気感を持ち込んだ2007年オープンの『THE GREAT BURGER』だ。出店場所に選んだのは、当時家賃は高いのに近隣で働く人か住民以外知らないような神宮前6丁目の住宅街の裏通り。周囲からは「そんな場所で成功するわけがない」と猛反対を受けたが、車田氏は数字を分解してその状況を見つめた。
「裏通りとはいえ家賃は坪5万円レベルで少し怖い金額。でも、地下にあった『ease by LIFE』との家賃差額約50万円を30日で割ってみる。そうすると、1日あたりの家賃の差は1万6000円程度。同等の人件費率と原価率の設定で客単価を2,000円とすれば、ざっくりですが地下の店に比べて1日10〜15人多くお客さまに来てもらえればなんとか成り立つ計算になります。路面店なら無理ではない。そうやって数字を分解して考えていくと、チャレンジする勇気が湧いてきました」
当時はSNSもGoogleマップもない時代。場所が分からず道案内の電話が1日に数十件も殺到した。しかし、『バーガーキング』の日本再上陸という時代の波ともリンクし、メディア露出をきっかけに一気に行列店へと成長を遂げる。
『THE GREAT BURGER』の人気の理由は、メニューのクオリティの高さにある。特に象徴的なのが、ほんのり甘くもっちりとした食感の「ブラウンバンズ」だ。
「ハンバーガーを写真で見たときに、一目で分かるキャラクター性が欲しいと思い、高級感のある濃いブラウンのバンズを半年かけて開発しました。通常は卵液を塗って焼き上げますが、うちではそこにカラメルを混ぜています。そうすることで、 お客さまがバーガーを口に運ぶ瞬間に、ちょうど鼻先へ甘く香ばしい香りが届くようにも設計しているんです」





