坪月商93万円超の原宿『THE GREAT BURGER』。LDFS車田篤氏に学ぶ人気店のつくり方
2026年4月、参宮橋にオープンした『LENOX HOUSE』は手打ちパスタとワインを楽しむカジュアルイタリアン。コンクリートの質感を活かした空間に、ナチュラルな古材や天然大理石のタイル、ヴィンテージ家具を配している(画像提供:株式会社LDFS)
料理は王道、空間やストーリーで個性を。店舗へ落とし込む際の「編集」ルール
海外で得たインスピレーションを形にする際、車田氏には一つの編集ルールがある。それは「料理そのものは各ジャンルの王道・ど真ん中をいくが、コンセプトで自分らしさを出す」ということだ。アメリカン中華やアメリカン和食というように、料理自体はひねりすぎない。誰もが納得するおいしい王道の味を提供した上で、空間やロゴ、ストーリーという編集の力で個性を生み出す。
未経験のジャンルであっても、その味の構築には妥協がない。神泉『LUCKY ALEXANDER CHINA』の立ち上げ時には、自身の料理人としての経験をフルに活かし、短期集中で試作を重ねた。
「麻婆豆腐にしても、ありとあらゆるレシピを横断的に作って比較します。そうすると、その料理の根底にあるロジックや軸が理解できるようになる。その上で『じゃあ自分ならどう肉付けするか』を考えてレシピを完成させます」
原宿のベーカリーカフェ『The Little BAKERY Tokyo』はフレンチアメリカンな世界観。系列ブランド『GOOD TOWN DOUGHNUTS』のドーナツも販売(画像提供:株式会社LDFS)
味が完成した後は、自分以外のスタッフが再現性高く、ブレずに調理できるオペレーションへと落とし込んでいく。こうした計算は、空間やグラフィックデザインにも及ぶ。店舗では、ロゴのデザインを車田氏自らが手がけている。
「お店のロゴを、単なる飲食店の看板ではなく、ファッションアイテムとして成り立つようにデザインしています。アパレルブランドからコラボレーションのお話をいただいたときに、お土産用ではなく、日常のファッションとして着たいと思ってもらえるかを考えています」
実際、代々木上原『YOU KNOW WHAT(ユー ノー ワット』のInstagramを開設して1週間で、アパレルブランドから声がかかったという。こういった戦略的なアプローチが、アパレル関係者や流行に敏感な若者を惹きつける武器となっている。
ディナー需要を取り込むべく、ブルックリンの街角にあるイタリアンをイメージし業態変更した代々木上原『YOU KNOW WHAT』。朝食はニューアメリカン、昼や夜はパスタやピザが味わえる(画像提供:株式会社LDFS)
物件ありきから人ありきの出店、既存ブランドの横展開へ移行
現在8店舗となり従業員も90人(社員50~60人)規模になったLDFS。組織のあり方も次なるフェーズへと移行しつつある。
「これまでは物件の話が来てから何をやるか考えていましたが、最近は完全に『人ありき』です。各ブランドの店長候補が育ち、次の一手を自分たちが取るんだというマインドが醸成されたタイミングで出店を判断するようにしています。今後は新しいブランドを乱立させるのではなく、成熟した既存ブランドの横展開に注力していく方針です」
そのための新たな試みとして、YouTubeチャンネルの開設準備を進めている。動画を通じて車田氏の頭の中にあるニュアンスや経営のノウハウを言語化し、発信していく。
「コロナ禍以降、求人媒体を使うようになりましたが、お店に来たことがない人が面接に来ることも増えました。そこでYouTubeで僕たちのカルチャーを発信することで、それに共鳴してくれる熱量の高い人材を集めたいと思っています」
コロナ禍を経て、飲食店は一時期その存在意義を揺るがされた。しかし、車田氏は「レストラン(Restaurant)の語源が『休む、回復させる』であるように、飲食店は人を元気にする場所のはずだ」と改めて確信したという。
トレンドを追いかけるだけの店は、トレンドの終焉とともに姿を消す。しかし、自身の「好き」を軸に据え、それを時代や異なるジャンルへと緻密に翻訳し続ければ、消費者の心を長くとらえ続けることができるのだろう。
『THE GREAT BURGER』
住所/東京都渋谷区神宮前6-12-5 1F
電話番号/03-3406-1215
営業時間/11:30〜22:00(土日11:00~)
定休日/年末年始
坪・席数/30坪・50席
https://ldfsinc.com/the-great-burger









