御徒町『三角』の看板料理「おばんざい」に学ぶ商品力とメニュー戦略
2024年7月にオープンした御徒町『三角』は、開業からわずか3カ月で月商1,000万円を突破し、その後も高水準の売上を維持する繁盛店だ。その原動力となっているのが、注文率70%を超える看板商品「おばんざい 全種 六種盛り」。単なる前菜に留まらず、商品設計から接客まで緻密に作り込まれた人気メニューの魅力を探る。
一皿で満足感を生む緻密な商品設計
「おばんざい」は、株式会社トーヤーマン代表の當山鯉一氏が考案したメニューをベースに、開業時から厨房を支える店長兼料理人の石川彩紀氏が磨き上げた看板商品だ。
当初は誰が作っても同じ品質に仕上がる再現性を重視していたが、石川氏はお浸しや味噌和え、揚げ物などに独自の工夫を加え、季節食材を取り入れながら「これ一皿で前菜を十分に楽しめる」構成へと進化させた。
最大の特徴は、常に新鮮な驚きを与える内容にある。例えば、マスカルポーネと和えた豆腐に烏龍茶の香りをまとわせ桃を合わせたり、揚げ物にはハーブを効かせたタルタルソースを添えたりと、小皿ごとにアイデアが光る。ゴーヤを唐揚げにして苦味を抑えるなど、苦手意識を持たれやすい食材に気を使うのもポイントだ。
盛り付けにも細かな配慮が行き届く。高さのある食材を中心に据えた華やかな構成や、白皿、柄物、ガラス器を使い分ける演出によって視覚的な魅力を高め、思わず写真に収めたくなる商品へと仕上げている。
さらに、レシピの基準が明確なためアルバイトスタッフでも高品質な仕込みが可能で、売れ筋商品でありながら原価管理もしやすい。こうした仕組みが、店舗運営の安定化と新メニュー開発の余力を生み出している。
特別感を生む接客と開発体制
「おばんざい」の強みは料理そのものだけではない。提供時にはスタッフが小皿を示しながら一品ずつ丁寧に説明し、まるでコース料理のような体験を演出。ファーストオーダーで注文されることが多い商品だからこそ、この接客が強い印象を残し、顧客満足度の向上につながる。
また、ラインナップは月替わり。スタッフ全員が1か月かけて持ち寄るアイデアの集合体だ。石川氏自身も全国の名店を100店舗以上食べ歩いた経験があり、そこで得たインスピレーションを日々のメニュー開発に還流。毎月異なるアレンジという遊び心を加えることで、「来月はどんな料理に出会えるのか」というリピーターの期待感を巧みに醸成している。
お客の期待値を超えるクオリティを全員で模索するプロセスは、スタッフにとって一定の負荷となるものの、自ら考案したメニューが現場で評価される体験が確かな熱意へと変わる。『三角』のおばんざいは、緻密な商品設計を軸に据えながら、接客の質を高め、現場の自主性をも引き出す実用性の高いメニュー戦略として機能しているのだ。
『三角』
住所/東京都台東区上野3-18-4 蓬莱ビル1F
電話番号/03-6803-0514
営業時間/16:00~23:00(土日祝14:00~23:00)
定休日/無休
坪数・席数/30坪・46席
「おばんざい 全種 六種盛り」
価格/1,980円
原価率/27%〜30%未満(月により変動)
注文率/約70%
調理時間/仕込みは2人で90分〜120分、仕上げは1分程度










