坪月商193万円! 自由が丘『起率礼』料理長が明かす「回転・原価・人」の仕組み
仕事術② 原価50%超の海鮮を出しながら「総合原価率24%」に抑え込むメニュー開発
飲食店経営者が最も頭を悩ませる「原価と顧客満足度の両立」において、『起率礼』の設計は見事というほかない。旬のマグロやサンマといった鮮魚メニューは、日によって原価率が50〜60%に跳ね上がることもある。それでも総合原価率を23〜24%という極めて健全な水準に保てるのは、緻密な「高低ミックス戦略」が機能しているからだ。「海鮮など価値のわかりやすい食材にはしっかり原価をかけ、その代わり290円から790円のスピードメニューで原価を抑えています」と井上氏は明かす。
例えば、市販の菓子に店内でミル挽きした四川花椒と青海苔を和えた「大人のおっとっと(山椒味)」。原価を抑えることができるだけでなく、作り置きができてロスも出ない。お通し代わりや、最後の一杯のつまみにも最適で、顧客にとっては「手頃で楽しい驚き」となり、店舗にとっては確実な利益源となる。
スピードメニューに、旬の食材を積極的に取り入れているのも特徴。旬の食材は仕入れ値が下がるうえ、銀杏やルバーブといった食材を中華の技法と組み合わせることで独自性も出しやすい。「提供時にすぐ出せて、ある程度日持ちがする」かどうかを基準に、お客から見えない仕込みの手間を惜しまず、その分を提供スピードと意外性に還元している。
また、看板料理の麻婆豆腐も、木綿豆腐と自家製肉味噌、調味料の配合を工夫することで原価率30%未満にコントロール。低原価のスピードメニューと、本格的な技術で魅せる看板メニューを巧みに組み合わせることで、原価の波を吸収している。
さらに同店がこだわるのは「ポーションの満足感」だ。「小皿で出すにしても、少ないと思われるより『こんなに盛ってくれるのか』と思われたい」と、こんもりとした盛り付けを徹底。割安感を演出し、酒の進む味付けにすることで客単価4,000円台へと自然に引き上げている。
一方、ドリンク部門における粗利の要が、名物の「高級台湾茶割り」だ。台湾鉄観音や紅玉紅茶といった高級茶葉を前夜から8時間水出しし、規定量の氷とアルコール、ソーダで正確に割る。中華料理のスパイスや油分を心地よくリフレッシュさせる香り高い一杯は、女性客や酒場通の心を掴み、何杯もおかわりを呼ぶ。






