シャルキュトリーの歴史・種類をご紹介。発祥はギリシャ時代まで遡る

Photo by Duncan Hull「Salami」
1000年以上の歴史のなかで、450種類ものシャルキュトリーが誕生
シャルキュトリーという食文化が誕生したのはギリシャ時代。もともとは肉の保存性を高めるために用いられていた薫製や塩漬け、乾燥といった技術が、肉の旨みを凝縮することに気付いたのがシャルキュトリー発展のきっかけとなる。
15世紀に入ると「シャルキュティエ」と呼ばれる専門職が誕生。フランス各地で、風土に合わせた様々なシャルキュトリーが開発されるようになる。そして1969年には「シャルキュトリー規定書」が制定され、約450の料理について製造規定が設けられた。このように、保存食という立ち位置からフランスの食文化を代表するメニューへと発展していったシャルキュトリー。現在ではワインやフロマージュと合わせて、フランスの3大テロワール産品として数えられている。
ここからは、450以上ものバリエーションを数えるシャルキュトリーのなかから、代表的なものをいくつかピックアップしてご紹介したい。
■パテ・ド・カンパーニュ

Photo by MIZUNO Hiroki「鹿肉のパテ」
シャルキュトリーの代表的なメニューのひとつ。豚ミンチにレバーペーストを混ぜ込み、パイに包んで焼き上げるのが基本的な作り方だ。近年は豚肉だけでなく鴨や仔牛といった食材も使用されるなど広がりをみせている。
■パテ・アン・クルート
シャルキュトリーのなかでも人気が高い定番メニュー。作り手によって食材の個性が出るのが特徴で、豚肉から鴨、さらには野ウサギといった食材も用いられる。肉の食感を楽しみながら食せるのが魅力。
■ブーダン・ノワール
加熱した豚の血と油脂を腸詰めにしたシャルキュトリー。りんごのピューレを添えて供されることが多く、また白ワインとの相性も抜群だ。
■リエット

Photo by stu_spivack「rillette」
食前酒とともに楽しんだり、パンのスプレッドとしても用いられる。通常は豚のバラ肉や肩肉を使用するが、近年はガチョウやウサギなどの肉を用いることもある。程よく塩気の効いたリエットは、ワインの最高の肴になる。
■サラミ
酒のツマミとしてお馴染みのサラミも、れっきとしたシャルキュトリー。コショウやガーリックが効いたピリリとした味わいが一般的だが、なかには黒トリュフを混ぜた高級サラミも存在する。
■ハム

Photo by Steven Lilley「Ham」
シャルキュトリーの王道とも言えるハム。基本的には豚のモモ肉を用いるが、ロース部分を用いるロースハムや、肩肉を用いるショルダーハムもある。
シャルキュトリーの発祥の地であるフランスには、「食材のすべてを使い切る」という考えがある。内臓はもちろん、血や骨に至るまで、食材を余すことなく利用できるシャルキュトリーは、まさにフランスの食文化を象徴する食べ物と言えるだろう。
さて次回の記事では、『シャルキュトリー教本』の著者・荻野伸也氏のお話をご紹介する。料理人の視点から見るシャルキュトリーの魅力とは一体!?
Editting&Text/Hirokazu Tomiyama
