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居酒屋復活の鍵は“手触り感”!? 北千住の酒場に見る繁盛の理由

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北千住の老舗『千住の永見』

9月14日、『串カツ田中』が東証マザーズに上場した。大阪名物として知られる串カツを主力商品に据え、東京都内を中心に125店舗を展開。客単価は2,400円程度、家族連れの利用も多い。貫啓二社長は記者会見で「串カツを日本を代表する食べ物にしたい」と述べ、全国1000店舗体制を目標に掲げていることを明かした。

ご存知の通り、居酒屋業態全体の売上数・店舗数は、総合居酒屋チェーンの不振により右肩下がりの状況が続いている。そんな状況の中で、『串カツ田中』は2008年の創業以来、着実に店舗数を伸ばしてきた。低価格競争にあえぐ「総合居酒屋」を横目で見ながら、串カツという強い商品を武器に「専門居酒屋」として多店舗展開を図る。時代を読みながら巧みに躍進した貫社長の手腕には“さすが”のひと言だ。

大衆居酒屋の人気を確かめに、北千住の横丁へ

さて、居酒屋業態の低迷が続く中で、今年はさまざまなメディアで“大衆居酒屋の復権”というニュースが報じられている。古きよき酒場として、従来の中高年だけでなく、若い世代にも人気を集め出しているというのだ。

なかなか居酒屋業態全体の売上として数字に表れてこないが、この“大衆居酒屋復権”のニュースは果たして本当なのだろうか。その“熱”を感じ取るために、横丁文化が発展している北千住へ実際に足を運んでみた。

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夕方4時過ぎにもかかわらずすでに満席状態の『天七』

北千住駅に降り立ったのは午後4時。早速、西口に広がる「飲み屋横丁」へと足を運んでみた。

一軒目は串カツで有名な立ち呑み屋『天七 本店』。コの字型のカウンターには、まだ夕方にもかかわらず客がびっしり。肩が触れ合うような混み具合の中、串カツに舌鼓を打っている。客の年齢層は40~50代が多く、通い慣れた地元住民がほとんどの印象だ。しかし、なかには遠方から訪れたのであろう20代の男女もひらほら。大衆居酒屋が若い世代にも人気を集めているのは本当のようだ。

壁には「ソースの二度づけ禁止」「カウンターへの肘掛け禁止」の張り紙が。ほかにも、空きグラスはテーブルに置いたままにする、タバコの吸い殻は床に捨てるなどの独自ルールがある。恐らく一見の客も多いのだろう。ルールがわからない客がいても、スタッフが優しく教えてくれるから安心だ。

肝心の串カツは、小ぶりのものが基本で、揚げ方もカラッとしており食べやすい。若鶏のから揚げが名物のようで、訪れた客のほとんどが注文していた。

二軒目を予定していたので、小一時間ほどで店を出たが、夕方5時頃には入店を待つ客が行列を作るように。ちなみにお会計は、串カツ4~5本、ビールと酎ハイを1杯ずつ頼んで1人2000円弱。これは安い!

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夕方5時で満席の『千住の永見』

二軒目は『天七 本店』のすぐ隣にある『千住の永見』。ちなみにこの『天七』から『千住の永見』の流れは、人気番組「酒場放浪記」で吉田類が歩んだコースと同じ。北千住の大衆酒場を味わうにはベストな流れではないだろうか。

さて、『千住の永見』もさすがは人気店。夕方5時にもかかわらずほぼ満席だ。忙しく接客する年配スタッフが、恐らく常連であろう男性客に、「一気に来ちゃうのよねぇ」とつぶやいていたのが印象的だった。客の年齢層は『天七』よりも高く、60代、70代と思しき地元客も。さらに、皆さん酒が進んでいるのか“ワイガヤ度”も最高潮。スタッフもなかなか注文を取りにこれないほどに忙しそうだった。

酒の種類は少々物足りなさを感じたが、料理は個性があり十分に楽しめた。なかでも「どじょうの丸煮」は絶品。酒との相性も抜群によかった。

『千住の永見』には、2時間ぐらい滞在しただろうか。その後、3軒目へ行き最後はラーメン屋で締めたのだが、大衆居酒屋の開放的な雰囲気のおかげで酒が進み、レポートできるほどの記憶が……。これほどよく呑み、よく笑うのは大衆居酒屋だからこそであって、バルやビストロといった洒落た業態では味わえないことなのかもしれない。

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夜の北千住。狭い通路に居酒屋やスナックが立ち並ぶ

“手触り感”ある食やコミュニケーションが鍵

さて、「大衆酒場の復権」を確認すべく北千住へ足を伸ばしたが、人気店、しかも土曜の夜だったため、その盛り上がりが本来のものなのか、それとも復権にあたるのかがわからずじまいだった。とにかくわかったのは、北千住の横丁はとても活気にあふれていること、そして大衆居酒屋に集う客が笑顔にあふれていること。

あるインタビューで酒場詩人・吉田類は、このようなコメントを残している。「最近、大衆酒場が盛り上がっている理由をどう考えているか?」という問いに対しての答えだ。

「大量消費社会が極限化するなかで、決して背伸びをしない酒との向き合い方、手触り感ある食やコミュニケーションが見直されているのでは」(吉田類)

巨匠の言葉を借りてしまい恐縮だが、今、大衆居酒屋が人気なのはまさにこれが理由なのだろう。気取らず自然体で味わえる食、気の置けない仲間とガハハと大笑いできる場。これが大衆酒場には備わっており、そのシチュエーションを楽しみに客はやってくるのだ。

客が酒場に求める味、場所をいかに提供できるのか……。当たり前のことかもしれないが、この基本を考え抜くことこそが居酒屋業態復活の大きな鍵を握るのではないだろうか。

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