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客単価1300円の繁盛チェーン店『晩杯屋』に聞く。「低価格でも高品質」を実現する秘策とは?

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『晩杯屋』を運営する(株)アクティブソースの金子 源社長

飲食業界でこのところ目立って盛況なのが低価格チェーン店だ。「デフレ再来か?」とも言われる昨今の飲食業界だが、昔と違うのは、消費者が「安さ」だけでなく「品質の良さ」も求めていること。コストパフォーマンスの良さが繁盛への大切なキーワードであることは間違いない。

そんな中、低価格チェーンの中でも「客単価平均1300円」という異例の安さで躍進する店がある。立ち飲みを中心に都内で23店舗を展開中の『晩杯屋』だ。「煮込み130円」、「ポテサラ130円」など、メニューの大半は100円台。「マグロ刺し」などの目玉メニューも、200円という他を圧倒する低価格だ。しかも、安いだけではなく美味い。刺身は毎朝築地市場で新鮮なものを仕入れ、110円の「アジフライ」もオーダーを受けてから揚げたアツアツが提供される。

スーパーで買うよりも安いと思える低価格、そして高品質がなぜ実現するのか。『晩杯屋』を運営する(株)アクティブソースの金子 源社長に話を聞いた。

1.5人前で提供される『晩杯屋』の刺身

究極の「仕入れ力」と「1.5人前ポーション」が最大の武器

安い店はたくさんあるが晩杯屋の安さは「超安」。しかも「美味い」。なぜ驚きの超低価格が実現するのだろうか。

「うちで考える仕入れは、普通の飲食店の『逆のスキーム』でやっているからです。通常『仕入れ』とは、調理に使用する食材を必要に応じて調達しますが、うちは『その日安いもの』を仕入れる。高いときに高いものを追いかける必要がないんです。仲買さんとの信頼関係を大切に、その日安いものを仕入れて売るだけ。こちらから魚を指定することはありません。大衆魚が中心にはなりますが、安くて高品質なものを仕入れることができるわけです。『業者にとって都合のいい取引先になる』ことが重要ですね」

“安い、美味い”が見事に実現している『晩杯屋』の秘密は、その独特な仕入れ方法にあるようだ。さらに大きな工夫が「1.5人前ポーション」というもの。超安い価格でありながら、1人で食べるには十分過ぎる量である1.5人前の盛り付けをしているというのだ。

「うちは一般的な居酒屋のイメージとは大きく違うんです。大皿料理をみんなで取り分けるスタイルの真逆です。ターゲットは1人客なのでポーションは小さく、でも1.5人前の量を徹底しています。例えば同業店では刺身の1人前は3切れ。でも200円で提供しているうちの『マグロ刺し』は5切れ付けます。その代わりと言っては何ですが『取り皿』は提供しません。2人以上で食べるなら、もう1皿オーダーしてもらうか取り皿なしでシェアしてもらうという考え方。取り皿を出さないとは言ってもポーションが小さいのでフードオーダーは相当な数になります」

居心地の良さに惹かれて通う女性客も多い

立ち飲みの基本「早い」をいかに実現するのか?

『晩杯屋』が掲げる3つのこだわりが“早い、安い、美味い”だ。この中の“早い”を実現するためにはどのような工夫がなされているのだろうか。

「多い店では1日のフードオーダーが1000を超えますが、提供するスピードにはこだわっています。お客様に早く出すことはもちろん、回転率を上げるために重要となってくるのがオペレーションの効率化です。一つは、『おすすめメニュー』の活用ですね。いち押しの『おすすめメニュー』を極力オーダーしてもらうようコントロールする。これはとても重要です。もう一つは、オーダー前に盛り付けまで完了させておく『スタンバイ』を取り入れていること。ピークタイムを予想し、この『スタンバイ』をコントロールしていかにすばやい提供を実現するか、これは現場のオペレーションにかかっています。揚げ物などは当然オーダーが入ってから揚げるので、厨房の様子を見ながらコントロールします。また、オーダーは紙に記入してもらうスタイルをとっています。取り皿を提供しないのと同様、サービス面は切り捨てている部分もあります」

『晩杯屋 武蔵小山本店』

必要とされる店であり続ける。今後は1都3県で200店舗を目指す

超低価格帯のお店でありながら、銀座や中目黒といった街にも積極的に出店している『晩杯屋』。これらの街での手ごたえはいかがだろうか?

「銀座や中目黒というと、たしかにアッパーなお店が多いです。でも、こうした街で働いている人たちのすべてが、収入が高いというわけではない。その街で働く若者たちに本来必要とされている店が『晩杯屋』のような店なのです。コンビニで買って“家飲み”するくらいなら『晩杯屋』に寄って帰る。さらに、月に1~2回ではなく毎日でも寄れる店を目指していきたいですね」

今後、1都3県で200店舗の出店を目指しているという。『晩杯屋』が勝負している「一人飲み市場」の今後について、金子社長はどのように考えているのだろうか。

「社会構造的に、今後も一人暮らしの方や高齢者はますます増えていきます。現在でも『晩杯屋』には多くのお年寄りが足を運んでくれますが、“家ではなく外で飲みたい”というニーズは、一人暮らしをしている方を中心にさらに高まっていくと考えています。一人で飲んで食べながら、周りの人と一言二言会話をして帰る。現実のコミュニティの場としての役割を、うちのような店が担っていけたらと考えています」

「安くても高品質な店」という難易度の高い運営を成り立たせながら、コミュニティの場としての役割も目指していくという『晩杯屋』。今後の展開にもますます注目が集まりそうだ。

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小内三奈

About 小内三奈

フリーライター。ニュースサイトの他、育児、ライフスタイル、農業支援サイトなどさまざまなジャンルで執筆。家庭菜園を趣味とし、新鮮な野菜を取り入れた料理作りを日々実践中。ビールとワインに合う料理が大好物で、飲食店で食べたものを家庭で再現するのも日課。