「現金お断り」。完全キャッシュレス店舗をロイヤルホールディングスが開業。その狙いを聞いた

11月6日にオープンした『GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店』
ファミリーレストラン『ロイヤルホスト』や、天丼チェーン店『てんや』を運営するロイヤルホールディングス株式会社。同社は、次世代の店舗運営を研究開発していく『GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店』を11月6日にオープンした。この店の会計は各種クレジットカード、電子マネーのみの「完全キャッシュレス」となる。
ここ数年、飲食業界では慢性的な人材不足が続き、テクノロジーを駆使した業務効率化に注目が集まっているが、同社が今「現金お断り」のキャッシュレス制に踏み切った狙いとは何か。ロイヤルホールディングス株式会社の経営企画部コーポレートコミュニケーション・吉田弘美さんに話を伺った。

間接業務の効率化で、働き方改革・生産性向上を目指す
レジ締めは40分を数分に短縮。従業員がイキイキ働ける環境を目指す
「働く人口が減少している中、『従業員がイキイキと働ける環境をどうしたら作れるのか』という疑問に対して考えを重ねてきました。結果、既存の事業あるいは業態ごとに抱える課題に対して一つずつ対応するのではなく、R&D(研究開発)店舗として一つの店を建て、一から課題解決に向けた試みを行っていくことになり、『GATHERING TABLE PANTRY』のオープンにいたりました」と吉田さん。
完全キャッシュレス会計であることが世間の注目を集めているが、取り組みはそれだけではない。多角的に「働き方改革・生産性向上」を目指している。
「このR&D店舗では、店舗業務の中でも特に店長業務、管理業務といった様々な間接業務の効率化を図ることで、より良いおもてなしができる時間をつくり、人材育成により力を入れられる環境をつくることを考えております。その結果、従業員がイキイキと働くことができ、楽しく働く従業員が接客することでお客様満足・付加価値の向上につなげ、 また生産性の向上につなげていきたいと思っています。 具体的には、現金を扱わない決済方法(キャッシュレス)や掃除ロボットの導入のほか、発注や在庫管理やキッチンオペレーションの改善、ワンシフト(8時間勤務)でできる営業時間など、従業員がイキイキと働ける環境作りのための取り組みを研究していきます」
キッチンでは、最新器具を使うことで調理時間を短縮。メニューは洋食が中心で、アルコール類も販売している。金額面は、他のグループ店舗と大きく差異はなくリーズナブルだ。既存店と比べ、一番変わったことは「キャッシュレスにしたことで、従業員、特に金銭面を管理する店長の業務負担が大きく減った」こと。実際に働く店長からも「閉店後、毎日40分かかっていたレジ締めは数分で終了します。過不足もなく、つり銭の不足なども気にしなくてよいのでお金に関するストレスはほぼありません。営業終了後には、これまでよりもかなり早く帰ることができています」と好評だ。
