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居酒屋の「お通し」問題、店主のホンネは? 「見え辛いところでお金を取るしか方法がない」との声も

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Photo by iStock.com/Sean_Kuma

居酒屋文化の一つともいえる「お通し」。お酒をオーダーし、一品目の料理が運ばれるまでのつなぎともいえるが、近年は「好きなものだけを食べたい」「頼んでもいないものにお金を払いたくない」などの意見もあり、お通しを望まない人も増えているようだ。一方で「席料やサービス料だと思えばよいのでは」と、本来の「お通し」とは異なるとらえ方で許容する声も……。では、お通しを出すお店側の思いはどうなのだろうか。

今回の「飲食店リサーチ」では、飲食店のお通しやサービス料についてアンケート調査を実施。お通しを出す店、出さない店、それぞれの本音を紹介する。

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:225名
調査期間: 2018年2月22日~2018年2月27日
調査方法:インターネット調査
アンケート結果はこちら

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち67.1%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は61.8%(首都圏の飲食店の割合は76.0%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

また、76.4%の回答者が、一般的にお通し代やサービス料の発生する業態(レストラン・和食店、居酒屋、バーなど)を運営していると回答しています。

「お通し」を用意する店は約半数。お通し代は300~399円が主流

まず、お通し代やサービス料が発生する業態を運営していると回答した人に、会計時の請求に含まれる項目について聞いたところ(複数回答可)、「お通し代(50.6%)」「サービス料(15.1%)」「チャージ料・席料(22.7%)」「いずれも請求していない(23.3%)」という回答が得られた。

約半数の店舗がお通し代を取っている

その中から、「お通しを提供している」と回答した店舗に対し、お通し代について尋ねたところ、最も多かったのは、「300~399円」で48.3%。半数近いお店が300円台となった。それ以外の価格帯では、「199円以下(3.4%)」「200円~299円(10.3%)」「400円~499円(11.5%)」「500円~599円(17.2%)」「600円~699円(4.6%)」「700円~799円(0%)」「800円~899円(2.3%)」「900円~999円(0%)」「1000円以上(2.3%)」という結果になっている。

お通し代は500円未満の店舗がほとんど

こだわりのお通しが「名物」になる店も

さらにお通しを提供するうえで気を付けていることを聞いたところ(複数回答)、「お通しの質にこだわっている」が52.9%と、お通しだからと手を抜かず、客に喜ばれるようにこだわる店が多くあった。

確かに、魅力的なお通しが強みとなっている店もある。例えば、『絶好調てっぺん 新宿店』では、漁師直送の鮮魚や野菜の前菜が少しずつ、数種類盛られたお通しが名物だ。また学芸大学駅近くにある『げってん』のお通しは、宮崎の新鮮な鶏もも肉を使用。生のまま提供しアツアツの石の上で、客自らに焼いてもらうスタイルが受けている。

一方で、「『お通しカット』を可能にしている(31.0%)」「外国人客へは提供を行っていない(20.7%)」という店も。お通しを希望しない人やそもそもお通し文化を持たない外国人客に、配慮する店もあった。

お通しカットを可能にしている店舗が約3割

分かれる外国人観光客への対応

アンケートでは、約2割のお店がお通しを「外国人客へは提供を行っていない」と回答したものの、訪日外国人への「お通し」の対応についても意見が分かれている。

お通し代を請求するお店からは、「『郷に入っては郷に従え』ということわざもあるように、日本の文化に合わせてもらうことも必要では。オリンピックに向け『おもてなし』といわれていますが、それは決して外国の文化に合わせることでありません。日本の文化を伝え、直接感じてもらうことも、おもてなしの一つではないでしょうか」(東京都/和食)という声も。

確かに、海外旅行ではその国の文化に触れることも楽しみの一つ。トラブルを避けるために、外国人客へお通しを出すことを選択肢から外すのではなく、外国語のメニューでお通しについて触れ、これも「日本文化」の一つとして提案してみるのもよいだろう。

また海外では、お通し文化はなくとも、サービスに対してチップを払う文化はよくあるため、「サービス料」として請求する店も多い。文化圏の違う人がスムーズに受け入れられるような工夫も必要といえるだろう。

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戸田千文

ライター: 戸田千文

広島・東京を中心に活動するフリーランスの編集・ライター。これまでにグルメ冊子や観光ガイドブック、町おこし情報誌などの編集・執筆を担当。地方の魅力を首都圏に発信する仕事をするのが夢。おいしい地酒を求め、常にアンテナを張り巡らせ中。