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飲食店で「生産性向上」を図る際の基本的な考え方。人手不足・人件費の高騰を乗り切るには!?

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写真はイメージ。Photo by iStock.com/Yagi-Studio

飲食業界では今、6月に成立した働き方改革関連法案や、10月より実施される最低賃金引き上げの影響もあり労働環境の見直しが盛んにおこなわれている。これに加え、かねてより問題となっている人手不足に頭を悩ませている飲食店経営者も多いだろう。こうした状況を打破するためにも、急務なのが「生産性向上」である。しかし、ひとえに生産性向上といってもアプローチの仕方は様々。誤った施策を選択すれば、マイナスに作用しかねない。

そこで今回は、飲食業界における生産性向上の基本的な考え方について紹介したい。

そもそも飲食業界における「生産性向上」とは

そもそも生産性とは、スタッフ数や労働時間に対する成果のこと。つまり、生産性が高いとは、少ないインプットで多大な利益を生み出している状態である。人手不足とともに働き方改革も叫ばれている今の飲食業界では、労働環境の見直しを図りつつ、少ない人材で今よりも利益を上げるような、生産性向上が求められていると言えるだろう。

冒頭でも話したが、生産性向上に対するアプローチ方法は様々だ。飲食業界の生産性向上というと、業務の効率化が代表例だが利益の拡大も手法の一つ。現在いるスタッフで売上向上を目指すという点では「ファインダイン」などを利用した、デリバリー分野への進出も生産性向上のアプローチと言えるだろう。こういった数あるアプローチの中から、自分の店に合ったものを選択するのがポイントとなってくる。

写真はイメージ。Photo by iStock.com/recep-bg

生産性向上を考えるときに意識したいポイント

では、具体的にどういった観点で、生産性向上に取り組んでいけばいいのだろうか? 飲食店経営者として、自店舗の生産性向上を考える際に押さえておきたいポイントを紹介するので、参考にしてほしい。

■効率化を図ることで店の魅力を損ねないか
飲食店における生産性向上の施策といえば、調理機器やIT機器の導入を思い浮かべる人も多いだろう。実際に導入している店舗も多いが、全ての飲食店において最善の策となるわけではない。例えば、高級店での調理のオートメーション化は本質から離れているといえるし、接客をウリとしている店のタッチパネル導入は、接客機会を減らすことに繋がる。このように、店のコンセプトに沿わない施策は、店自体の魅力を損ねることになってしまう。自分たちの店の魅力はなにかを十分に考えた上で、生産性向上を図る必要があるのだ。

■客から本当に必要とされるサービスを提供する
飲食店で提供しているサービスのほとんどが客の満足度をあげるためにおこなっているものだが、なかには過剰で行き過ぎたケースもある。たとえば客のテーブルで料理の仕上げをおこなうパフォーマンス。確かにシズル感を演出でき、客の満足度を高めることにつながりそうだが、店の種類によっては「必要ない」と感じる客もいるはず。こうした客が必要ないと思っているサービスを見極め、改善することも生産性向上に繋がる。逆に、客が求めるサービスを辞めることは、前述したように店の魅力を損ねることになるので注意が必要。必ず客側の立場に立って考えることが大切だ。

■面倒な作業から見直しを
生産性向上のため、作業の見直しを図る店舗もあるだろう。調理やオーダーなど、店によって見直すべき作業は異なるが、共通して言えるのが、常日頃面倒だと思っている作業から見直すことだ。現場の意見も取り入れ、本当の意味で効率化に繋がる作業の見直しを図ってほしい。

写真はイメージ。Photo by iStock.com/Yue_

生産性向上をするならどの業務? その手段とは?

飲食店で生産性向上を考えた場合、コンセプトや業務によってそのアプローチは違う。ここでは、生産性向上の施策として挙げられることの多い、業務効率化に着目し、そのアプローチ例を紹介する。

・仕込み……作業の簡略化
・調理……作業の簡略化、オートメーション化、調理工程の見直し、導線の見直し
・接客……注文用のタッチパネル、セルフサービスの導入
・予約受付……予約システムの導入
・掃除……作業工程の見直し

このほか、マニュアルの整備やスタッフの勤務時間の工夫なども、飲食店の生産性向上に繋がる業務効率化と言える。いずれにしても店ごとに生産性向上に対する最善のアプローチは異なるため、いかに自分の店に合った手法を見つけるかが重要だ。

生産性向上について考えるときは、目先のことだけでなく、働き方改革関連法導入後のことなど、先を見据えた施策を取り入れることも大切と言えるだろう。今回ご紹介した内容を参考に、自分の店に適した生産性向上の手法を見つけてほしい。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。