飲食店経営者が知っておきたい2019年の重大トピックス。消費税増税から入管法改正まで

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2019年がスタートした。今年は「消費税増税」や「入管法改正」など、飲食業界に関連する様々なトピックスが予定されている。代表的なものをいくつか取り上げていきたい。
4月より「働き方改革関連法」が施行
2019年4月1日から、働き方改革関連法が順次施行される。飲食店に特に関わる項目としては、「残業時間の上限規制」「年5日の有給休暇取得」「勤務時間インターバル制度の普及」などが挙げられる。
残業時間の上限規制は、大企業に関しては2019年4月1日から施行される(中小企業は2020年4月1日から)。残業時間の上限は、月45時間・年360時間を原則とし、繁忙期などの事情でやむを得ず上限を超える場合は、6か月までは許容される。ただし、その場合でも単月100時間未満(休日労働含む)、2~6か月で平均80時間(休日労働含む)を上限とし、年間上限も720時間となる。これらの上限を超えると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
有給休暇に関しては、使用者は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、1年以内に5日以上、「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」、「計画年休」のいずれかの方法で年次有給休暇を取得させなければならない。また、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法について、就業規則に記載しなければならない。これらに違反した場合は、30万円以下の罰金が科せられる。
飲食店にとっては、勤務時間や有給休暇取得の管理、人員確保、作業効率の向上などに努め、従業員にとって働きやすい環境を作ることが求められることになりそうだ。

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消費税増税と軽減税率制度の開始
2019年10月に消費税が10%に上がる。過去の消費税増税と同様、増税直前の駆け込み需要と増税直後の一時的な需要の落ち込みが想定される。しかし、今回の増税は軽減税率制度とセットとなっており、この対応も必要になってくる。
軽減税率とは、消費税を増税することで消費が低迷することを防ぐために、食料品等の一部商品に対して、一定の条件の場合に税率を8%にする制度である。イートインのみの飲食店であれば、一律10%で問題ないが、テイクアウトやデリバリーを行なっている飲食店の場合は8%の商品も混在するため対応が必要となる。
消費税増税に関して、もう一つ検討しなければならないのが「値上げ」である。弊社の調査では、6割を超える飲食店が増税に備えて値上げを検討していると回答している。また、5年前の増税時にも約6割の店舗が値上げをしたと回答。仕入れやメニューの見直し、オペレーションの簡素化で乗り切るという飲食店も一定数いるが、消費者に増税分の一部を負担してもらうことを検討している店舗が多い。

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今年のゴールデンウィークは10連休
2019年5月1日は新天皇の即位に伴い祝日となる。また、祝日法では「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日は休日とする」と定められており、昭和の日の4月29日と5月1日に挟まれた4月30日、そして5月1日と憲法記念日の5月3日に挟まれた5月2日(木)も休日となり、その結果、4月27日~5月6日まで10連休となる。
繁華街や観光地にある飲食店であれば、例年のゴールデンウィークよりも人員確保や物流・原材料の確保が大変になるだろう。最大限の売上が確保できるよう、余裕をもってスタッフや取引先と調整しておくことが必要となる。逆にオフィス街や学生街の店舗は、売上が例年以上に落ち込む可能性もあるので気をつけたい。
飲食店の消火器設置が義務化
これまで、飲食店では延べ面積150㎡以上の店舗に限り、消火器具の設置が義務付けられていた。しかし、消防法施行令の改正に伴い、火を使用する設備または器具を設けている飲食店は、面積に関わらず消火器の設置が義務付けられる。また、新たに設置した消火器は6か月ごとに点検し、1年に1回消防署に報告することが義務となる。

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入管法改正で外国人就労が拡大へ
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律により、2019年4月より、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」が創設される。外国人労働者の就労拡大を狙った法改正だが、人手不足に悩む飲食業界にとっては注目すべき話題だといえるだろう。
さて今回は、2019年に予定されている重大ニュースをいくつか紹介した。一年間の計画を考える際に、これらのトピックスを参考にしながら準備に取り組んでほしい。
