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日本の飲食店がアメリカで成功するには? 「北米進出セミナー」完全レポート

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スカイライン不動産代表・眞部憲一氏

北米の商習慣を学ぶ「NNN」「ABC License」とは?

続いて、ロサンゼルスを中心に商業不動産(飲食店開業)の仲介業務等を行うスカイライン不動産代表・眞部憲一氏が登壇し、北米における現地の商習慣についてレクチャーが行われた。

最初に自社で扱っている物件の情報を示し、その読み方を伝授。たとえば「NNN($)=Included」は固定資産税・火災保険料・管理費がレンタル料に含まれていることを示し、「ABC License=None」はアルコール販売のライセンスはないことを示すなど、基本的な部分からスタート。

続いて物件の写真を示し、多くの点で日本とは規制や習慣が異なることを伝えた。例えばトイレは身体障害者の方のために手すりが必要で、しかも個室に入った時に、中で車椅子で回れるようなスペースがあることが重要。そのため日本ではないような広さが求められるといった、現地にいないとわからないような情報が伝えられ、参加者も納得したようにうなずくシーンが見られた。

開業時に必要な最低限の知識として、レストランを購入した場合、営業権の購入に過ぎないため、購入後も家賃の支払いが必要であること、購入対象はリースの造作、厨房設備、屋号、商標、のれん、許認可などに限られるという点も指摘。難しいのが従業員の扱いで「もし、辞めさせたい時は2週間前に通知して辞めてもらうようにした方が間違いないでしょう。即日、辞めてくれと言ったりすると、相手も生活がありますから訴えられることもあります」と、現実的な対応をアドバイスした。

続いてレストランのリース賃貸契約で日米の商習慣の違いを説明。顕著な違いとして造作の原状回復義務がないことが伝えられた。敷金は通常、家賃の1、2か月分だが、クレジットヒストリーがないテナントは入居を拒否されることがあったこと、過去に最高12か月分を支払った例があるなど、米国における「信用」は、契約においてシビアに評価される現実についてレクチャーされた。

Photo by iStock.com/ablokhin

現地の物件選定のポイント11

最後に現地での物件選定についてもアドバイスがなされた。

1、店に面した道路の交通量
2、店の前のフットトラフィック
3、駐車場の数と位置
4、建物と店の関係
5、店の前の風景
6、視認性
7、休日の集客
8、ランチの集客
9、グリーストラップ
10、トイレ(ADAに準拠しているか)
11、フードの長さ(容量)など

9のグリーストラップがついていない場合は後からつけることを求められる場合があるため、ついている物件の方が好ましい。10のトイレは身体障害者用のものに対応しているか確認が必要だ。

以上のような極めて具体的で実践的な商習慣、物件の選定についての説明が行われた。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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