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消費量減少が続く「ビール」の現在地。地域性と多様化がキーワードに

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画像素材:PIXTA

「ビール離れ」と言われている一方で、ここ数年はクラフトビールが人気のビール業界。醸造所の数も増え、多種多様なビールが選べるようになってきているが、ひと昔前の地ビールブームとの違いはどんな点にあるのだろうか。ビール業界の現状を整理し、飲食店ではどのようにビールを提供していけばよいか、考えてみたい。

世の中はすべて多様化してきている

2000年代からビールの売上は減少を続けてきた。その原因はいくつか考えられるが、大きく分けると嗜好の多様化と人口減だと言えるだろう。

ビールに限らず、◯◯離れと言われている業界は多い。テレビ離れ、映画離れ、車離れなど、多くの趣味・嗜好から特に若年層が離れていると言われている。

これは嗜好の多様化による結果だと考えられるが、その理由はインターネットの普及などによって情報・選択肢が増えたことによるものだろう。余暇の選択肢が増えたことで、選択肢ひとつあたりの人口が減り、結果◯◯離れと言われるような状態になってしまっている。お酒の選択肢も増え、ビール以外にもいろいろなお酒を選べるようになっているのが現状だ。

そして、それに拍車をかけているもうひとつの原因が人口減。国が発表している資料を見ても、2050年には人口が1億人にまで減少するなど、減少傾向は今後も続いていく。総人口が減った上に、余暇の多様化で選択肢が増えていくので、ビール以外でも◯◯離れは進んでいくだろう。

以上を考えると、ビールに限らないが、消費量や人口の減少は今後も続いていく、という認識は持っていたほうがいいかもしれない。

画像素材:PIXTA

現在のビールのキーワードは多様化と地域

しかし、そんな状況の中、小規模ビール醸造所の数は増えてきている。もともとビールは100種類以上のスタイル(味わいや製法による分類)があり、多様性を持っているお酒だが、国内でも醸造所が増え、それぞれがオリジナリティあるビールを造っているため、多様化が著しい。

地ビールブームの最盛期は全国で300軒ほどの醸造所があったと言われるが、現在はそれを超えて400軒以上が稼働していると言われている。また、地ビールブームと現在の違いのひとつは、味のクオリティを伴った上での地域視点だと考えられる。

地ビールブームでは、多くの企業がただビール業界に参入しただけで、クオリティが伴っていない醸造所が多く、それがブーム終焉の原因のひとつだったと言われている。現在では、クオリティが伴っていることが前提としてあり、加えて、地域とのコラボレーションを積極的に行っている醸造所が多いのも特徴だ。

例えば、地域の特産品を原料として使うことで、その価値をビールに加えられる。うまくいっている例としては、コエドブルワリーのさつまいもを使った「COEDO紅赤-Beniaka-」、サンクトガーレンの湘南ゴールドというオレンジを使った「湘南ゴールド」など。また、東京・首都圏以外で造られたビールが東京をはじめとする他地域で消費されることで、以前にはなかった経済の循環が生み出されるようになる。

ただ、多様性があっても、それを消費できる環境が必要だ。数え切れないほどのビールがあっても、限りなく店で提供できるわけではない。しかし、それをある程度可能にしているシステムがある。キリンビールの「Tap Marché(タップ・マルシェ)」だ。

4タップ(または2タップ)のディスペンサーを導入するだけで、多種多様なビールを販売することができるようになっている。現時点では、12ブルワリー、24銘柄のビールが販売可能。しかも樽の代わりに3リットルペットボトルを使用しているため、回転も早く、いろいろな銘柄を提供することができる。ディスペンサーは小型で場所をとらないので、どんな店でも導入は比較的容易だろう。

このように、ビールを取り巻く現状は、多様化・地域視点に変わりつつあるともいえる。

画像素材:PIXTA

飲食店ではどう工夫すればよいか

では、現状を踏まえて、飲食店ではどのようにビールを提供していけばよいだろうか。

店舗スペースや在庫管理・オペレーション・消費量などに問題がなければ、できるだけ多くの銘柄を提供するにこしたことはない。さまざまな銘柄を提供することで、料理とのペアリングを数多く提案することもできる。もちろん、少ない銘柄であっても、提供している料理との相性を考えて取り扱うことで、味わいの体験の幅を広げることも可能だ。

または、地元や思い入れのある特定の地域にフォーカスして、その地域のビール、その地域の素材を使った料理を提供するという方法もある。店が伝えたいことやターゲット、コンセプトを明確にし、それに合ったビールを提供することで、ファンを取り込むこともできる。

ビールは多様性のあるお酒。その多様性があるからこそ、どんな店・料理にもフィットするビールは必ずある。現状を踏まえたビールの提供方法について、一度考えてみてはいかがだろうか。

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富江弘幸

About 富江弘幸

ビアライター、編集者。大学卒業後、出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社ジャパンタイムズ勤務を経てビアライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。