M&Aで始める飲食店開業。創業者としての誇りを胸に自社の譲渡を決意
PMIをどのように進めるか、相乗効果を最大化するために何をすべきか
零細企業が上場企業の傘下に入るということは、色々な面で変革を迫られます。シンクロ・フードの本社は恵比寿にありますが、当時はウィットの事務所は水天宮前にあり、事務所を統合するまでの間、どのようにコミュニケーションを取っていくか、審議や決裁などの承認フロー、支払い関係の取り扱い、セキュリティー問題、定例MTG……それぞれの会社がそのまま継続していくとはいえ、想定以上に多くの改革を行いました。
私は株主として、経営者としてこの統合を判断した当事者ですから、大体のことは受け入れられますが、そうではないメンバーからするとやはり統合における組織変革は大きなストレスとプレッシャーになり、悩みはじめるメンバーもおりました。
シンクロ・フードは統合の段階で1名ウィットの取締役として出向で常駐しています。最初はうまく馴染んでいただけるか不安でしたが、出向者のキャラクターの良さもあり、今ではウィットメンバーが困ったら何でも相談し、良き関係を築けるとともに、統合作業もスムーズに機能し始めています。これには私も本当に感謝しています。
M&Aには常に付きまとう優秀な人材の流出を防ぐということ、それには全体バランスを調整しながら統合作業を推進するリーダー的存在の重要さを当事者としても感じています。
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M&Aアドバイザーが自社の株式を譲渡し、大手の傘下で引き続き活動するということ
私にとってM&Aは、特に失敗できないものです。飲食店のコンサルティング会社が自分のお店を出店し、それぞれが大赤字だとその会社にお店のコンサルティングを依頼する人はいなくなるでしょう。
それと同じく、M&Aを推進する当事者が、譲渡契約のみならず、統合作業の当事者としても関わっていくわけですから、少なくとも買収したシンクロ・フード社に「ウィットを傘下に入れてよかった」と必ず言っていただく必要があるということです。
現在M&Aは、飲食業界のみならず、どの業界でも一つの経営戦略として日常的に活用する流れが活発化しています。それとともに多くのプレーヤー(M&A仲介会社)やマッチングサイトも増えています。
飲食業界においては、当社が掲げ続けているテーマである「1店舗からのM&A」がより浸透し、M&Aに取り組まれる飲食店経営者が増えていくと思います。是非、正しく、多くの情報を取得され、M&Aの上手い会社を目指していただければと思います。我々株式会社ウィット及びシンクロ・フードグループとしても、飲食業界により貢献できる企業を目指して、事業を推進してまいります。連載をご覧いただき、ありがとうございました。