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今すぐ始めたい、飲食店の東京オリンピック対策。五輪開催で人手不足が深刻に!?

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画像素材:PIXTA

2020年7月から、いよいよ開催される東京オリンピック。各方面でインバウンド対策が進んでいるが、飲食店においては「深刻な人材不足に陥るのは確実」という話も。そこで今回は、東京オリンピック開催期間中、飲食店では具体的にどのような問題が発生すると考えられるか、また英語をはじめとした多言語や各国の食文化への対応など様々な準備が求められている中、今からどのような対策を優先すべきなのかまとめていく。

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早めの人員確保は鉄則。オーダー専用端末や電子決済システムの導入も

やはり最たる懸念事項は、人手不足だろう。飲食業だけでなく、その他の接客業や宿泊業などの間で、「人材の奪い合い」になると言われている。まずは今のうちに、基本となるオペレーションシステムの見直しや、電子決済システムの導入を済ませておこう。タブレット端末を用いたテーブルオーダーシステムに切り替えれば、フロアスタッフを削減できるうえ、日本語に不慣れな客でもビジュアルでメニューを選択してもらえる。さらにキャッシュレス化に対応することで、レジ前の混雑をある程度回避することが可能だ。これらのシステム導入には少々時間がかかるため、できればすぐにでも検討したいところだ。

もちろん、新人スタッフの教育には少なからず時間がかかる。現場が混雑する場合はなおさらのことだ。上記のような準備を進めつつ、早めの人員確保を行いたい。

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「お通し」など日本独自のルールは、外国語表記の店内ポップで大きく周知

東京オリンピック期間中は、英語だけにとどまらず様々な言語が飛び交うだろう。「日本語が一切分からない」という観光客も多数来日することが予想される。あらゆる観光客をうまく取り込み、集客につなげるには、ホームページを外国語対応にするほか、外国語表記のメニューを用意するのが基本。できれば英語だけでなく、いくつかの言語に対応するのが理想だ。もちろんスタッフ自身も、接客にかかわる最低限の英会話ぐらいは身につけておきたい。スタッフ全員の教育は無理でも、英語が話せるスタッフを一人以上は配置するなど、工夫を凝らそう。

また、日本独自のルールを知らない外国人も多いはず。「座敷席では靴を脱ぐこと」「トイレの使い方」「おしぼりの役割」など、日本人にとっては当たり前のことも、一つひとつ伝えていく必要がある。特に「お通し」の文化は外国人になじみがないだけでなく金銭にかかわることなので、トラブルに発展する可能性も。外国語で書いたポップを店の前や座席などの目につく場所に設置しておき、事前に理解してもらえるように心がけよう。さらにカード払いを含むキャッシュレス決済、テーブル会計などを導入しておくことで、日本円に慣れていない外国人客の会計対応も比較的スムーズになると思われる。

食事に制限のある方も「選びやすい」メニューを

東京オリンピック中は交通集中による渋滞や交通規制なども重なり、食材不足や調達困難な状況が考えられる。注文の段階では問題なくても、配送業者の遅配などにより希望通りの食材が手に入らない可能性も。長期保存食品や常温保存食品を中心に早めの仕入れを行い、普段よりも多くのストックを持っておこう。

また、様々な食文化への対応や提供までのスピード管理も難しくなる。通常通りのメニューにこだわらず、東京オリンピック開催中の特別メニューを考えるのも一つの方法だ。「豚肉不使用」「アルコール(調理酒)不使用」「ベジタリアン対応」など、様々な食文化をもつ方が選択しやすいメニューを用意するのがベスト。そのほか、丼ものやサラダのようにスピーディーに提供できる一品、煮込み料理など事前の作り置きが可能なメニューも充実させたい。提供方法についても、店内飲食だけではなく、店頭販売やデリバリーなどの活用も視野に入れよう。

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ロールプレイングの実施で、トラブル対応への選択肢をもとう

お酒を飲む人が増えることから、トラブルの増加も懸念される。店員とのトラブルや客同士のいさかいといった揉め事のほか、営業時間を過ぎても帰らない、支払いを拒否するなどの迷惑行為、備品や店頭店内の破損といった問題も出てくるかもしれない。

事前準備としては、スタッフ間でロールプレイングを実施する、実際に発生したトラブルの原因などを調査することなどが挙げられる。店舗の傷害保険や警備システム、監視カメラの設置状況を確認することも忘れずに。さらに最近は、飲食店と弁護士が顧問契約を結ぶケースもある。悪質クレームの対応やSNSトラブルを一手に引き受けてくれるため、一度検討してみてはいかがだろうか。とはいえ、客数が増えれば一定のトラブルが増えるのはある種仕方のないこと。「トラブルゼロ」を目指しつつも、ある程度は覚悟を決めておこう。

大勢の来客が予想される東京オリンピックの開催期間。準備や対策は大変だが、今のうちにしっかり取り組むことで、今後の経営にも良い影響を与えるだろう。これを機にさらなる進化を遂げたいものだ。

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大槻洋次郎

ライター: 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。