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喫煙規制強化は飲食店だけじゃない。店舗数激減の麻雀店も…さらに衰退懸念か?

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画像素材:PIXTA

時代の流れ 分煙・食事に力を入れる店舗も

また、社会の趨勢をいち早く捉えて「フロア分煙」および「フロア内分煙」を徹底してきた店もある。赤坂(港区)にある『麻雀ラウンジ ぷろす』だ。1階の看板に書かれている“分煙はじめました”の文字が目に留まる。「フロア分煙」は文字通りフロアごとに禁煙フロア、喫煙可能フロアに分けたものだが、『ぷろす』では、喫煙可能フロアでもさらに分煙しているのだ。

フロア内分煙といっても、衝立やエアカーテンなどでの簡易的な仕切りとは訳が違う。禁煙3卓、喫煙6卓という卓の間は煙が一切漏れないガラス壁面によって仕切られている。また、喫煙エリアにはビルの空調システムのほか、約100平方メートルの広さでも除菌・消臭が可能という巨大な空気清浄機を設置したり、扇風機を何台も回して煙の流れをコントロールするほどの念の入れようだ。

『ぷろす』オーナーの倉持聡氏が話す。

「麻雀店というと、喫煙しながら遊びたい人が多いイメージがありますが、じつはたばこの煙が苦手な人も多いんです。そういう人たちにもしっかりとしたサービスをしたいという思いで2014年のオープン時にフロアを改装して分煙を実施してきました。空港ラウンジのように居心地のよいスペースを提供することで、他店との差別化にもつながりますしね」

それだけではない。『ぷろす』にはなんと専任シェフがおり、出来たての食事やつまみ、酒類を注文することができる。これも“選ばれる麻雀店”を目指してきた同店の大きな特徴となっている。

「会社帰りに別の場所で食事をしてから雀荘に来ると、どうしても遊戯の開始時間が遅くなってしまいますよね。でも、美味しい食事を用意しておけば、早くからお客さんが来てくれますし、長時間滞在していただければ店の経営的にも助かります。だから、一般の飲食店より原価率を上げて、食事にも手を抜かないようにしています」(倉持氏)

画像素材:PIXTA

徹底した分煙策、こだわりの食事で多くの常連客を獲得してきたわけだが、そんな麻雀店の経営努力も、4月からの喫煙規制強化が重くのしかかる。

「分煙については、これまで決められたルールの中で最善策を取って非喫煙者のお客さんでもくつろげる店を作ってきたのに、法律が改正されたからといって急に営業スタイルを変えてくださいと言われても……。最初から喫煙ルールの“ゴール地点”を教えてくれれば、先手で違った対策も打てたのに、とつくづく思います」(同前)

東京都麻雀業協同組合の高橋理事長は、業界を代表してこう主張している。

「麻雀業界は今後、たばこの煙がモクモクの“ギャンブルっぽい”古いイメージから決別していく必要がありますし、お店も年配層だけでなく新しい客層にシフトチェンジさせていく努力をしなければならないでしょう。でも、時間帯によって禁煙卓を設けたり、フロア内で分煙や禁煙を推進してきた店もあり、そういう店は喫煙者も非喫煙者も自らの判断で訪れて遊戯していました。そうした現場の声をまったく考慮せずに法案だけが進んでしまったことは残念です」

喫煙規制の強化でこれ以上、麻雀店が減ってしまったら、純粋にゲームを楽しんだり仲間内とのコミュニケーションの場として発展してきた「麻雀文化」そのものの衰退も避けられない情勢といえる。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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