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「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」で売上維持。『いづも池袋』が貫いた攻めの姿勢

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コロナ以前から名物の「うな串」をどのように浸透させるか思案していた尾村さん。現在では、訪れる客のほとんどが注文していると言う

ファン獲得の裏には、三つの成功要因があった

「コロナ(567)をぶっ飛ばせ!」が客の支持を得た理由として、尾村さんは三つの要因を挙げている。一つ目は「ノーガード戦法」だ。尾村さんは、飲み放題に対して1時間という制限以外は何も条件を付けていない。

「色々な店がコロナ対策の飲み放題をやっているのですが、『ワンオーダー食事付き』や、『時間を超えたら自動的に延長』といった条件が付いていました。でも、それはあくまで店側の都合です。それよりも条件をつけずに楽しんでもらえば、こっちが言わなくても食事を頼んでくれるだろう、という可能性に期待することにしました」

読みは的中し、飲み放題の客の多くが、看板メニューである「うな串」を注文。折しもオープンから半年と、店舗のみならず看板メニューの認知度アップにも注力していた時期だっただけに、ブランディングも同時に成功したのは大きな収穫だった。

また、客数が急激に増えたタイミングには、オペレーションが不十分で提供が追い付かないこともあったが、そんな場合はラストオーダーを取らず、あくまで客の満足度を優先。結果、施策を始めてから今に至るまで、大きなクレームはなくリピーターも増加したと言う。

二つ目は「SNS」。今回、メディア露出で火が点いた印象だが、それを目にした人々が店舗に足を運んだ要因は、開店時から、尾村さんが毎日SNSの投稿をしていたことが大きい。

「テレビやSNSでキャンペーンのことを知ったとしても、私たちのSNSに料理や店内の詳しい写真がなかったら、お客さんは行きたいと思わなかったでしょう。また、池袋は『第二の秋葉原』と呼ばれるほどネットリテラシーが高い方が多いとも聞きます。SNSでヒットする可能性はもともと高かったのかもしれません」

三つ目は「スピード感」だ。社内の会議の翌日には施策を始めるという素早い対応を行ったが、これは、母体のスパイスワークスがスピード重視の経営姿勢であることも大きい。

路地裏の店舗ではあるが、以前に比べて認知度は上がったと尾村さんは語る

苦境に立たされているからこそ、攻めの姿勢で危機に挑む

いまだファンの多い「567(コロナ)をぶっ飛ばせ!」キャンペーン。尾村さんは、引き続き継続するとともに、自店舗に合った新たな施策も積極的に取り入れていくと言う。

「日々、自粛ムードが強くなっているので一概には言えませんが、私はこういった逆境だからこそ知恵を絞って、色々試すことが大事なのではないかと思います」と、尾村さん。

今回のコロナウイルスのように、終わりの見えない長期的な損失が見込まれる状況で店を守るためには、戦略的な対策を即座に行うことが必要だ。多くの飲食店が苦境に立たされている中、『いづも』のような大胆な戦略、そしてそれを成功に導いた要因を紐解くことは、危機を脱するヒントになりうる。苦しい状況に立たされている経営者も多いはずだが、どうか諦めず、頑張ってほしい。

『うなぎの蒲の穂焼き 牛タン・馬刺し いづも 池袋』
住所/東京都豊島区西池袋1-13-7
電話番号/03-5992-8311
営業時間/月~金 12:00~24:00 土・日・祝15:00~24:00
定休日/無休
席数/44席
https://www.instagram.com/izumo_ikebukuro/

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高橋健太

ライター: 高橋健太

10数年の飲食業界での経験を経て、物書きとして独立。交通新聞社『散歩の達人』、Webメディア『FOOD STADIUM』などのグルメ記事を中心に活動。インタビュー記事を得意とする。