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【新型コロナ】飲食店の金融支援、約4割の店舗が「スムーズに申請できない」と不満

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの影響を受け、多くの飲食店が給付金や助成金、補助金を利用している。弊社では、飲食店経営者や運営者を対象に、政府や自治体などが実施する金融支援の利用状況についてアンケート調査を実施。以前(5月15日~5月20日)にも同様の調査を行なったため、どう変化したかも含めて結果をご紹介する。

【注目記事】飲食店が活用できる新型コロナウイルス関連の「補助金・助成金」は?

■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:619名
調査期間: 2020年6月10日〜6月11日
調査方法:インターネット調査
※詳しい調査結果はこちら
※本調査にご協力いただいた回答者のうち68%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は56.2%(首都圏の飲食店の割合は72.9%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測される

約3割が普段通りの営業に。先月と比べると売上はやや回復の兆し

5月25日、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が全面解除された。東京都は3つのステップを設定し、段階に応じて営業短縮や休業要請を緩和していく方針を発表。調査時はステップ2の段階であり、飲食店の営業時間は夜10時まで延長された。

調査時の営業状態について聞いたところ、「営業時間を短縮」が最も多く57.7%、次いで「イートインに加えテイクアウトやデリバリーも行っている」が33.8%だった。一方、新型コロナ感染拡大前の営業スタイルに戻った店舗も多いようで、「普段通りに営業」が32.5%と、前回の調査時(5.3%)に比べて約6倍に増加している。

「普段通りに営業」している店舗は32.5%

2020年5月の売上の昨年対比については、最も多かったのが「前年同月より90%以上減った」で23.6%。次いで「50%減った(15%)」、「80%減った(13.2%)」、「70%減った(12.3%)」、「60%減った(12.3%)」と続き、合計76.4%の店舗が昨年に比べて売上が半分以上落ちていることが明らかになった。しかし、前回(4月の昨年対比、売上が半分以上落ちた店舗は84.8%)と比較すると、やや回復の兆しが見られる。

合計76.4%の店舗が昨年に比べて売上が半分以上落ちている

助成金や補助金を申請済みが82.7%。準備に手間取った店舗が多数

政府や地方自治体などが実施している給付金・助成金・補助金を利用したかを聞いてみると、「すでに申請し、入金も確認済み」が最も多く44.7%、次いで「すでに申請し、入金待ち」が38.0%だった。「申請の手続きを進めている」(10.5%)も合わせると、9割以上の店舗が何らかの金融支援の申請をしたことがわかった。

9割以上の店舗が何らかの金融支援の申請をしている

続いて、実際に利用した支援制度について聞いたところ、「持続化給付金(84%)」「自治体の休業要請協力金(39.1%)」「雇用調整助成金(32.8%)」という回答が得られた。

最も多いのは「持続化給付金」で84%

給付金・助成金・補助金を利用した店舗に対して、申請の準備や手続きはスムーズにいったかを聞いたところ、「はい」が55.3%、「いいえ」が36.8%。「いいえ」と回答した方に対してスムーズにいかなかったと感じた理由を尋ねると、「申請に必要な書類を集めるのに手間取った(70.2%)」、「申請書の書式が難しく、記入に時間がかかった(57.5%)」などの回答が得られ、多くの店舗が準備に手間取ったようだった。

約4割が「スムーズに申請できなかった」と回答

申請に必要な書類の準備に手間取るケースが多いようだ

この結果を踏まえ、「給付金・助成金・補助金を利用するうえでそのほかに感じたこと」を自由回答で聞いた。

「事務負担が大きく、準備するものや記入するものを正しく把握するのに時間かかった」(東京都/カフェ/2店舗)
「審査の状況がどうなっているか全く知らされなかったのが不安だった」(愛知県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
「ネットの知識がないと公の助成金等の情報を知ることができないし、申請にも時間がかかるので、年配の自営業者は申請自体を諦めてしまう場合もあると思う」(京都府/鉄板焼き・お好み焼き/1店舗)
「コロナ後の影響はまだまだ続いていきそうな感じがするので、給付金がさらに必要です。閉店するにも費用がかかるので、閉店時に利用できる助成金もあればいいと思います」(大阪府/ラーメン/1店舗)

まもなく「家賃支援給付金」の受付がスタートするなど、今後も飲食店の経営をサポートする支援制度が登場する。積極的に活用して、経営状況の回復に努めてほしい。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。