飲食店は「原則禁煙」、その後の実態は? 4月以降の喫煙環境を508店舗に調査
屋内分煙だった店舗、半数が「全面禁煙」へ移行…その理由は
もともと屋内分煙にしていたのは、全体の8.5%(43店舗)。そのうち、1年後も屋内分煙のままにしたのは約3割の12店舗。屋内禁煙(屋外喫煙スペースあり)にしたのは約2割(9店舗)で半数が「全面禁煙」に移行しているが、やはりここでも「条例に則った喫煙スペースをとれない」ということが全面禁煙に踏み切った理由の大半だ。
また、「非喫煙者への配慮から分煙にしていたが、それゆえのトラブルを経験したため、すっかり禁煙にした」(東京都/和食)という声や、「お子様連れやご年配のお客様が増えたため、全面禁煙にした」(東京都/イタリア料理)という声からは、外食のあり方が変容していることも見て取ることができそうだ。
屋外に喫煙スペースを作っていても、泣く泣く「ビルの都合」
すでに屋外に喫煙スペースをもうけ、屋内は禁煙にしていた74店舗のうち、それをキープしたのは7割(52店舗)。26%にあたる19店舗は全面禁煙にしている。そこには止むに止まれぬ事情があることも明らかになった。
「店舗外(テラス席)にて喫煙可能としておりましたが、ビル側が共用部での喫煙が禁止となりましたので、我々と致しましても全面禁煙と致しました」(東京都/アジア料理)
「出店している建物自体が禁煙のため」(東京都/その他)
ビルの中に入っている店舗だと、屋外にスペースを作ることもできず、ビルの方針に従うしかないというわけだ。
屋内喫煙可能だった店舗は、約9割が法令に則った対応を「した」と回答
現在、「全席喫煙可」あるいは「屋内分煙」という110店舗のうち、「改正健康増進法の施行に合わせて、法令に則した対応をした」と回答したのは96店舗。約9割の店舗が、対応策をとったことがわかる。
そのうち具体的な対応策としては、「喫煙目的施設として全席喫煙もしくは喫煙席/禁煙席とした」が32.3%と、「喫煙目的施設」にすることで、喫煙可能な席を残したという店舗が多い。「全席禁煙として店内に飲食不可の喫煙専用室を設置した」という店舗は13.5%、「店内の一部に飲食可能な加熱式たばこ専用の喫煙席・フロアを設置した」は4.2%だった。
なお、「対応できていない」という8店舗のうち、屋内に喫煙環境を設ける予定があるのは1店舗で、理由は「売上が下がるため」(東京都/バー/1店舗)。また、「対応する予定はない(現状維持)」が半数の4店舗、「周りの飲食店の動向を見て対応を考える」が3店舗だったが、対応予定がない店舗の主な理由は、
「ビルの喫煙エリアがあるため」 (東京都/和食)
「罰則もなく、従業員を雇わないため」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)
と、法令に当てはまらないため。一方で、「周りの飲食店の動向を見て対応を考える」理由としては、
「罰則など明確でないから」(東京都/カラオケ・パブ・スナック)
「少しでも多くのお客様に対応できるようにしたいが法令順守は必然という苦しい状況。周辺の同業が喫煙席を残すならこちらも残さなければ競争に負けてしまうから」(東京都/和食)
「コロナであやふやになってしまったため、まぁ対応できておりません」(東京都/バー)
と、飲食店経営者の歯がゆい思いが垣間見える。