飲食店ドットコムのサービス

飲食店は「原則禁煙」、その後の実態は? 4月以降の喫煙環境を508店舗に調査

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

現在「全面禁煙」の店舗、本音は?

Q. 今後、喫煙環境を設ける予定はありますか?
設ける予定がある:7(2.4%)
設ける予定はないが、できれば設けたい:37(12.8%)
設ける予定はない:246(84.8%)

「喫煙環境を設ける予定はないが、できれば設けたい」と回答した店舗は12.8%

現在、全面禁煙をうたっている店舗は、8割以上が今後も喫煙スペースを設ける予定はないと回答。ただし、今後設ける予定があるという店舗や、「予定はないが、できれば設けたい」と本音を漏らす店舗もある。その理由は大きく「他店との差別化」「来店チャンスの損失防止」という考えだ。

Q.喫煙環境を設けることは、店舗の売上や来店客数にどのように影響すると思いますか?
大きなプラスになる:57(11.2%)
プラスになる:152(29.9%)
マイナスになる:62(12.2%)
大きなマイナスになる:34(6.7%)
どちらとも言えない:203(40%)

「大きなプラスになる」「プラスになる」という回答は41.1%

「大きなプラスになる」「プラスになる」という回答は209店舗(41.1%)で、「マイナスになる」「大きなマイナスになる」とした18.9%(96店舗)の倍以上。さまざまな問題をさておくと、売上にとって喫煙環境は設けるに越したことはないと考える店舗が多いことがわかる。

一方で、「どちらとも言えない」が203店舗と全体の40%を占め、判断がつかないという声が多いのも事実。この数字は、喫煙者が一定数いる反面、煙を避けたい客もいるという現実で悩む経営層の姿を映し出しているともいえるだろう。

■「プラスになる」と回答した飲食店の声
「プラスになる」とした店舗の業態は、アルコールを中心としたメニュー展開をするバー、そして居酒屋・ダイニングバーが大半だった。理由は、大きく「常連に喫煙者が多い」「喫煙者の方が酒を飲む傾向にあり、滞在時間も長いため客単価が高い」「差別化/リピートにつながる」という3つだ。

その中には、飲食という共通目的がある以上、それ以外の嗜好の選択は互いに理解を示しながら、自由であってよいという意見や、「海外からのお客様も含め、喫煙できることにメリットを感じていただいている」(東京都/バー)と、海外の喫煙環境との差別化になっているという声も寄せられた。

【喫煙者のほうが客単価が高い傾向がある】
「滞在時間が長くなり客単価が上がる為」(東京都/専門料理)
「タバコを吸う方の方が単価が高い傾向にあるため」(東京都/イタリア料理)
「なんだかんだ言っても、やはり団塊の世代の喫煙者はお金を落としてくれます」(東京都/イタリア料理)

【差別化・リピーターにつながる】
「アルコール飲料を好む顧客に愛煙家が多く、喫煙可能なことが生き残り策の一つになると思われるため」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)
「喫煙可の店舗が少ない現在、もし完全分煙可能なスペースを設けることが出来れば愛煙家も多く来店して頂けると思います」(東京都/洋食)
「接待などで、お客様側が吸われる場合があるのを時々見る。「ああ、吸えるんだ、よかった!」「あ、さすがだね」等のお言葉を聞くと、やはり吸う方の場所があることが、店を選んでいただける理由になると思った」(東京都/その他)

【常連に喫煙者が多い】
「喫茶店として利用する高齢者の要望がある」(東京都/カフェ)
「ご来店のお客さまで喫煙者が依然多いため」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

画像素材:PIXTA

■「マイナスになる」と回答した飲食店の声
「マイナスになる」と回答した店舗の業態にも、特徴的な傾向がある。最多は女性客や家族連れが多く来店するカフェ。うどん・そば、ラーメン店のような回転率重視のところは「喫煙スペースを設けることで集客増になるとは考えにくい」(東京都/そば・うどん)という声がある一方で、「プラスになる」という意見も。店の規模やメニュー構成によって意見が分かれるのであろう。そのほか、喫煙する人が減り、また客からの禁煙席要望が増えたことを実感する声が多く見受けられた。

【回転率が下がる】
「回転率が下がるため」(東京都/ラーメン)

【女性、親子連れが多い】
「来客は親子連れが多い」(東京都/カフェ)
「若い女性中心の店舗のため」(東京都/カフェ)
「喫煙者がすごく減った。お客様に家族づれが増えた」(東京都/ラーメン)

【料理の味を邪魔する】
「たばこの香りが邪魔するため」(東京都/アジア料理)

【ご時世】
「禁煙席のご要望が多いので」(東京都/フランス料理)
「タバコの臭いに敏感な人が増えた」(東京都/フランス料理)

喫煙スペースを設けることが売上にどう影響するかは、業態や規模、コンセプトによる。並行して、“家族で外食”をする場所がファミリーレストランだけでなく、ラーメン店やフランス料理、カフェなど、さまざまな店舗に広がっているという背景がある。飲食店側にとっては、自分が経営する店舗は、どういう人に、どう過ごしてほしいのかをより具体的に考えなくてはならない時代になっているといえそうだ。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

『飲食店ドットコム ジャーナル』は飲食店ドットコムが運営する“食”に関するWEBマガジンです。飲食業界の最新ニュースをはじめ、食にまつわる役立つ情報や、実際に働く方々の声を読者に届けていきます。