ウィズコロナ時代の飲食店を支える! スマホによる事前注文・決済サービスの活用術を聞いた
プットメニュー株式会社のエグゼクティブ・マネージャーを務める村井芸典さん
飲食店への休業要請はなくなったものの、以前の売上に戻すのに苦労をしている店舗も多いのではないだろうか。売上が少ない中で利益を出すには、可能な限り業務効率化を図り、人件費などの経費をなるべく抑えることが重要となる。
そうした状況の中、注目を集めているのが、アプリなどを用いた「事前注文」「事前決済」サービスだ。客が来店前に「注文」「支払い」までを完了させることにより、店側はオーダーのヒアリングやレジ業務などが省ける。飲食店スタッフの負担を軽減するシステムとして需要が高まっているのだ。
今回はスマートフォンアプリによる事前注文・事前決済を可能にしたサービス「Putmenu(プットメニュー)」の提供を行う、プットメニュー株式会社のエグゼクティブ・マネージャー・村井芸典さんに、サービスのメリットやこれからの可能性などについて伺った。
スタッフの稼働率を下げ、客単価を着実にアップ
■「注文0分、会計0分」を叶える
2017年にローンチされたプットメニューは、客自身のスマートフォンで利用する会員登録不要の無料アプリケーション。アプリを立ち上げると付近の飲食店が表示され、来店前にメニューの仮注文から会計までを済ませることができる。手元のスマートフォン一台で、簡単に個別会計ができる点も魅力だ。
対応しているオンライン決済サービスは、クレジットカード決済のほか、NTTドコモ・au・ソフトバンクなどのキャリア決済、PayPay、LINE Pay、Alipay、PayPal、Apple Payなど多数(2020年7月現在)。全国のレストランやカフェをはじめ、商業施設内のフードコートやスポーツイベント会場などでも導入されている。
そもそもプットメニューとは、Bluetoothなどの無線技術を利用した通信手段「ビーコン」を活用するサービス。プットメニューの開発母体であるボクシーズ株式会社が特許をもつ、はがきサイズのビーコン「注文電子シート(ペーパービーコン)」を飲食店のテーブル裏などに設置することで、アプリをダウンロードした客自身のスマートフォンと連動させる仕組みだ。
「お客様は来店前に料理の選択と支払いまで済ませて来られるので、着席後は注文電子シートの上にスマホを置いてもらい、オーダーを確定させるという流れです。この、“テーブルをIoT化するシステム”によって、注文までの待ち時間をゼロに、さらにお会計の手間を気にすることなくお食事を楽しんでいただくことができるわけです」
村井さん曰く、飲食店が導入するにはこの注文電子シートの設置や最低限のインターネット環境、プリンターなどが必要だが、それ以外に必要となる専用機器やネットワークは特にないとのこと(※1)。客自身のスマートフォン端末を利用するBYOD(Bring Your Own Device)の発想を基盤とした強みだ。
プットメニューのアプリ画面。店舗は現在地から近い順に表示されるので、周囲の飲食店を簡単に探せる
■業務の効率化に加え、販売促進効果も
この基本的なシステムが機能すれば、飲食店のスタッフはわざわざオーダーを取りに行く必要もレジ対応をする必要もなくなり(※2)、調理や片付けなどの業務に集中できるようになる。つまり、ひとりのスタッフが対応できるテーブル数も増えるため、必然的に人件費を抑えることが可能になるのだ。さらに村井さんは続ける。
「プットメニューには、追加オーダーの販促がしやすいという長所もあります。『このメニューと一緒に、あともう一品どうですか?』といった声掛けは、直接のコミュニケーションだとやりづらい部分もありますが、スマホなら気軽にメッセージが送れて、実際のアクションにつながる可能性も高いんです」
業務効率化を図れるだけでなく、客単価アップによる売上の向上も見込めるというわけだ。
