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福岡・京極街に『蛍茶屋』ら4つの系列店。“超”ドミナント戦略、その狙いとは?

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『蛍茶屋』など4店舗を運営する株式会社カッチェルの橋本雄一郎さん

飲食店を経営し、軌道に乗ってきたタイミングで2店舗目を出店する。その場合、業態や出店エリアをどうすべきか、1店舗目と差別化を図るべきか悩む飲食店経営者も少なくないだろう。

2010年に福岡で焼き鳥店『蛍茶屋』をオープンした株式会社カッチェルの橋本雄一郎さんは、順調に姉妹店を増やし、現在は4店舗を経営。特徴的なのは、その出店エリアだ。

4店舗のうち3店舗は徒歩15秒圏内、もう1店舗も歩いて1分ほどと、出店場所を集中させているのだ。“極端”ともいえるドミナント戦略を実践するその狙いとは? 橋本さんに話を聞いた。

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店のドアを開けたらすぐに2軒目

橋本さんが初めて店を構えたのは、昭和な雰囲気が残る京極街。福岡市の六本松にある、昔ながらの飲食街だ。今でこそ、若い人や女性も出入りするバーが増えてきたものの、かつてはスナックなど男性向けの店がほとんどだった。

「1店舗目をオープンしたとき、六本松はこれから再開発が始まるタイミングでした。しかも近くにあった九州大学の移転が始まった頃で、街が活気を失いつつある時期でした」

2010年に『蛍茶屋』をオープンさせた当時のことを橋本さんはそう振り返る。とはいえ、その分、天神や大名などの飲食店激戦区に比べると家賃は安く、初めて店を出すにはちょうどよかったそう。

店の経営は順調で、2012年には姉妹店となるバー『宴処 紅ね屋』を開くことになるが、その場所はなんと『蛍茶屋』の向かい。道一本、といっても人がすれ違うのがやっとの狭い路地を挟んだすぐそばだった。

『蛍茶屋』のドアを開けると、すぐ目の前に『紅ね屋』がある

「店をやってると常連さんがどんどん増えてくるでしょ。でも、いくら店を気に入ってくれていても、2時間くらい飲んでいるとちょっと雰囲気を変えたくなる。すると2軒目、3軒目を求めて、お客さんが別の店に流れていってしまうんです。だったら、お客さんが求める2軒目をすぐそばに作っちゃおうってことで、『紅ね屋』を作ったんです」

この橋本さんの狙いは見事にあたり、『蛍茶屋』から『紅ね屋』の人の流れが出来上がった。さらに2018年には、そこから徒歩1分ほどの場所に3号店となるスタンド焼き鳥『NiCE』、2019年末には『蛍茶屋』から徒歩15秒ほどの場所にモツスタンド『マエノメリ』をオープン。京極街で集中的に出店を重ねていった。

店が近いからこそできる「人手不足」対策

姉妹店を近くに集めることで助かったことがある。それが、働き手の確保だ。オープン当初は求人をかければすぐに集まったアルバイトだが、2015年ごろから求人広告の反応が鈍くなった。そこで考えたのが、アルバイトスタッフに店舗の垣根を越えて働いてもらうことだった。

「アルバイトスタッフは日ごとに違うお店で働くこともできますし、数時間単位でヘルプに入ってもらうこともできます。例えば、2時間だけ『蛍茶屋』に人がほしいと思っても、たった2時間だけのためにスタッフに声をかけるのは普通ならためらってしまいます。声をかけられた本人だって、2時間のアルバイトのために外に出てくるのは嫌がります。だから、ピークタイムの2時間だけ『蛍茶屋』で働いたら、次は近くの『マエノメリ』で働く……といった感じで、忙しかったり、人手が足りなかったりするお店を回ってもらうようにしました。シフトを組むのもかなり楽になりましたし、アルバイトスタッフ自身もお店が変わることで飽きることなく、働くことを楽しんでくれているようです。これは店舗同士の物理的距離が近いからこそ可能なことだと思っています」

モツ料理が楽しめるスタンド形式の店『マエノメリ』

もちろんスタッフの希望は尊重するし、向き・不向きも考慮する。スタッフから「働く店を固定したい」と希望されることもあるという。現在、4店舗でアルバイトスタッフは20名ほどいるが、そのうち複数のお店を行き来するのは7名程度。橋本さん曰く「愛嬌があって知らない大人と話すことができる、コミュニケーション能力が高い人」ばかりだそう。客と顔なじみになることも多々あり、スタッフが次の店に移動する際、「それなら」と客も一緒に動くことがあり、売上の向上にも繋がっている。

それぞれの店で個性を出す。客を飽きさせない工夫も

お店が同じエリアに集中するからこそ、気を付けているのは店の個性だ。

「お店のジャンルには変化をつけるようにしました。『蛍茶屋』は焼き鳥店、『宴処 紅ね屋』はバー、『NiCE』は昼からオープンする立ち飲みの焼き鳥店、『マエノメリ』は福岡で馴染みがあるモツ料理を主役にし、女性も入りやすい立ち飲み屋として営業。お店ごとに個性を持たせることで、店をハシゴしても楽しめるようにしています」

焼き鳥『NiCE』もスタンド形式

メニューや盛り付けもすべての店で変化をつけ、客を飽きさせないようにしている。一方で、複数店舗を担当するスタッフは大変な部分もある。

「同じハイボールやカクテルでも、少しずつ飾りが違っていたりするので、どうしても間違えてしまうことがあるんです。ついクセで作ってしまう。だからそういうちょっとしたミスは想定したうえで、価格設定を行っています」

姉妹店とはいえ、同じエリアに複数店舗となると不都合もあると考える人も多い中、あえて近隣に絞ることで成功モデルを生み出した橋本さん。近くに店が集まることで、一つひとつの店が管理しやすく、店の様子やスタッフの動きも目に入りやすいなど、ここで紹介した以外のメリットも多い。業態に変化をつける必要はあるが、橋本さんが実践するこの“極端”ともいえるドミナント戦略は、個人店が2店舗目・3店舗目を出店する際の大きな参考になりそうだ。

『やきとり 蛍茶屋』
住所/福岡県福岡市中央区六本松2-3-17
電話番号/092-202-2317
営業/18:00~翌2:00 (L.O.翌1:30)
定休日/日曜
席数/15

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戸田千文

About 戸田千文

広島・東京を中心に活動するフリーランスの編集・ライター。これまでにグルメ冊子や観光ガイドブック、町おこし情報誌などの編集・執筆を担当。地方の魅力を首都圏に発信する仕事をするのが夢。おいしい地酒を求め、常にアンテナを張り巡らせ中。