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「ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021」発表。新評価「グリーンスター」をアジア初導入

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『ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021』について解説する本城氏

大阪の三つ星は3軒。二つ星以降も多彩なジャンルが掲載

大阪の三つ星は『柏屋』『太庵』、コロナ禍で苦しむ飲食店のために署名活動を行った『HAJIME』の3軒が評価を受けた。いずれも昨年の評価を継続している。

二つ星は、フランスの郷土料理を提供する『ラ・シーム』など12軒。日本料理を中心に評価された京都とは対照的に、大阪はイノベーティブ、すし、天ぷら、日本料理、ふぐ、フランス料理と多彩なジャンルの飲食店が登場した。さらに一つ星は81軒で、そのうち新規掲載店は7軒。ビブグルマンは111軒、そのうち新規掲載は23軒だった。

京都、大阪はいずれも三つ星、二つ星ともにほとんどの店舗が前年に引き続きの掲載。このことについて、本城氏は以下の見解を示した。

「伝統と歴史、味をこのような状況下でもしっかりと守られてきた結果というふうに理解しています。一方で一つ星、ビブグルマンでは新しい掲載店舗が増えており、今後も楽しみなエリアです」

記者会見後には、質疑応答が行われた

新評価「グリーンスター」がアジア初導入

『ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021』では、新たな評価への取り組みである「グリーンスター」も発表された。ミシュランタイヤは、持続可能なモビリティを推進している。それに伴い、持続可能なガストロノミーを実践する飲食店にスポットを当て、「グリーンスター」として評価を行った。この評価はヨーロッパの『ミシュランガイド』ではすでに導入が始まっているものの、アジアでは今回が初の導入となった。

この「グリーンスター」では、調査員は料理の評価と同時に、飲食店のサステナブルな取り組みを調査。無農薬による自家栽培の穀物や野菜の活用、フードロスの削減、環境保全などに積極的に取り組む店舗を評価している。

京都では、二つ星評価を受けている日本料理『⾼台寺 和久傳』『草娃 なかひがし』『美⼭荘』、一つ星の『室町 和久傳』、ビブグルマン評価を受けた『丹』がグリーンスターとして掲載された。大阪は三つ星評価で、なにわの伝統野菜の文化と継承に努め、水産資源の保全にも注力している『柏屋』、さらに一つ星評価で、環境負荷を軽減した農法で育成された野菜を活用する『寺田』の二店舗が評価を受けている。

セレクション発表会はYouTubeでの配信が行われた。司会のパックン(パトリック・ハーラン)氏(右)と橘ゆり氏(左)

最後に、新たな取り組みを含めた今回の『ミシュランガイド京都・大阪+岡山2021』における調査・評価を受けて、ペリニオ氏は次のように総括した。

「今回のコロナ危機で4月・5月は私たちも自粛を行いました。そのとき改めて感じたのは、外でモビリティを行うのは、やはり非常に楽しいということ。新型コロナが収まり日常が戻れば、観光に行く人が増え、フードツーリズムも続くと思います。これは我々人間の基本的なニーズだと、私は考えています」

今、飲食店は大変な危機にさらされているが、外食へのニーズは決してなくならない。真摯に営業を続け、見事ミシュランガイド掲載に至った名店たちの姿勢は、コロナ禍を戦う多くの飲食店の励みになるに違いない。

■二つ星以上の評価を受けた店舗
【京都府】
三つ星(★★★)
『一子相伝 なかむら』(京都市中京区)
『祇園 さゝ木』(京都市東山区)
『菊乃井 本店』(京都市東山区)
『阿兆 嵐⼭本店』(京都市右京区)
『瓢亭』(京都市左京区)
『前田』(京都市東山区)
『未在』(京都市東山区)

二つ星(★★)
『緒方』(京都市下京区)
『おたぎ』(京都市北区)
『御料理 光安』(京都市上京区)
『割烹 千ひろ』(京都市東山区)
『祇園 大渡』(京都市東山区)
『祇園 にしかわ』(京都市東山区)
『祇園 又吉』(京都市東山区)
『祇園 丸⼭』(京都市東山区)
『菊乃井 露庵』(京都市下京区)
『京懐石 吉泉』(京都市左京区)
『京天神 野口』(京都市上京区)
『建仁寺 祇園 丸⼭』(京都市東山区)
『⾼台寺 和久傳』(京都市東山区)
『新門前 米村』(京都市東山区)
『炭火割烹 いふき』(京都市東山区)
『草娃 なかひがし』(京都市左京区)
『美⼭荘』(京都市左京区)
『有職料理 萬亀楼』(京都市上京区)
『和ごころ泉』(京都市下京区)

【大阪府】
三つ星(★★★)
『柏屋』(吹田市)
『太庵』(大阪市中央区)
『HAJIME』(大阪市西区)

二つ星(★★)
『青木』(大阪市北区)
『一汁二菜 うえの 箕面店』(箕面市)
『カハラ』(大阪市北区)
『喜太八』(岸和田市)
『弧柳』(大阪市北区)
『旬彩天 つちや』(吹田市)
『鮨 原正』(大阪市天王寺区)
『寿し芳』(大阪市北区)
『Fujiya 1935』(大阪市中央区)
『本湖月』(大阪市中央区)
『宮本』(大阪市北区)
『ラ・シーム』(大阪市中央区)

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。