時短要請に応じる飲食店のリアルな声。「時短より分散利用を」「生産者にも支援を」

写真はイメージ。画像素材:PIXTA
営業時短要請よりも、飲食店の分散利用の促しを
今回の時短要請や協力金支給に関して、政府のアナウンスが不十分だったと話す人も多い。三鷹で燗酒店『ひねもす』を営む雨宮明日香氏もその一人。「緊急事態宣言発令時に協力金の申請方法や支給時期などについての情報は発表されていませんでした。資金力のある事業者は問題ないかもしれませんが、資金が底をついている事業者にとって支給時期がいつかは死活問題。一方、時短要請に応じない飲食店の店名を公表するという罰則は疑問に思いました」と話す。
実際、東京都が2020年12月18日~1月7日に実施した前回の時短協力金の申請受付要項の公開が1月22日、申請受付のスタートは2021年1月26日。ちなみに1月8日~2月7日までの協力金申請受付期間、申請方法などについては1月28日時点で未発表だ。
今回の時短要請を受け『ひねもす』では営業開始時間も早めたが、営業が20時終了となるとお客さんの滞在時間は短くなったという。そこで注文を受けてからすぐに提供でき、テイクアウトメニューとしても活用できる、おでんを新メニューに取り入れた。
『ひねもす』の場合、夫婦二人で営み、固定費も安価であることから「今回の協力金は十分」と話す一方、売上は1/3程度に落ち込んでいるという。また営業時間を短縮したことにより、営業している時間にお客さんが集中してしまい、入店を断ることもあるという。

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実際に飲食店予約サービスの「TableCheck」の調査によると、全国の飲食店の来客数は前回の緊急事態宣言時は1日平均約6人だったのに対し、2021年1月8日から17日は1店舗当たり1日平均約21.4人と3.6倍に増えた。
このような状況を踏まえ「すぐには難しいかもしれませんが、休日分散化を進めて欲しいですね。今回みたいに時短営業になっても、土日にお客さんが集中し平日の売上が壊滅的になることもないですし、密も避けられます。飲食だけでなく旅行業界も助かるはず」と提案する。
飲食店に対する協力金については、店舗の規模や営業スタイルなどによってその恩恵に差異が生じている。また時短営業にすることによって密集した状態を生み出しているというデータもあるほか、20時以降は時短に応じない飲食店に客が集中してしまうという問題もある。
飲食店の時短営業は感染拡大を抑えるのに有効なのかもしれない。しかし、このままでは飲食店をはじめとした多くの事業者が経営難に陥ってしまう。政府には協力金の在り方も含め、あらゆる面で適切な一手を打ってほしいものだ。
